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 DVDで『新・刑事コロンボ/初夜に消えた花嫁』を観る。監督はアラン・J・レヴィ、シリーズ通算六十作目。新シリーズでも屈指の問題作(笑)、いよいよ登場である。

 こんな話。本日はコロンボの甥っ子アンディ刑事とモデルをやっているメリッサの結婚式。コロンボも親代わりに出席し、スピーチにダンスに大活躍。ところがその夜、ホテルに宿泊した二人を悲劇が襲う。アンディのシャワー中、メリッサが消え失せてしまったのだ。連絡を受けたコロンボがアンディと二人で部屋を調べたところ、クロロホルムの染みこんだ綿や不審な車の目撃情報から、メリッサは誘拐されたと判断。コロンボはパーティに出席していた刑事たちを招集し、捜査に乗り出した……。

 新・刑事コロンボ/初夜に消えた花嫁

 本作にはシリーズの約束事がいくつか破られており、それが故にシリーズ中でもワーストに推す人が多い。
 まずはオリジナル脚本ではなく、エド・マクベインの原作を基にしたシナリオであることだ。
 新シリーズのコロンボはそもそも慢性的な脚本不足に苦しんでいた。まあ、これだけ長く倒叙をメインに据えた本格仕立てでやってきたのだ。それは苦労もするだろう。
 だがそれでもオリジナルにこだわったのはスタッフたちの意地でもあるし、やはり番組の価値を高く保つために他ならない。ところが製作総指揮にピーター・フォークが絡み出したあたりから、この部分がないがしろにされてしまった感がある。極論をいうと、コロンボというキャラクターがいて、中身が面白くさえあれば、別にルールにはこだわらなくてもいいんじゃない?というスタイル。

 ここで次の掟破りに繋がるのだが、本作でもマクベインの原作を使っているから、そこそこ面白くは観られる。観られるのだけれど、本作は倒叙どころか本格や謎解きのテイストがほとんど入っていない。要するに警察の組織的捜査だけで事件が解決し、そこにはコロンボシリーズがここまで人気を博した魅力のひとつがバッサリ切り捨てられているのである。
 確かにコロンボというキャラクターだけでこのシリーズを観ている人もいるのだろう。だが、まずはドラマとしての確かさ、脚本の素晴らしさである。倒叙や謎解きの要素なくして何のコロンボか。単なるサスペンスが観たければ、他にいくらでもその手の刑事ドラマはある。コロンボならではの魅力を捨てたところに本作最大の問題があるといえるだろう。

 あとはこれに比べると大きな問題ではないが、それでも気になる点はまだまだある。
 そのひとつがコロンボの親類を登場させてしまったこと。コロンボが犯人とのやりとりなどに際し、かみさんや親類の話を持ち出すのは恒例だが、実際にかみさんや親類が登場したことは一度もない。それゆえに話の信憑性自体は非常に低いのだが、となるとこれはコロンボの陽動作戦なのかと視聴者は考える。
 実際に親類を登場させたことで、その妙味が失せてしまったのは実に残念だ。

 お終いにラストの犯人逮捕のシーン。これも長年コロンボを観ている者には相当ショッキング。コロンボにはこういう現場に立ち会ってほしくなかったという気持ちもあるし、コロンボは最後までコロンボであろうとしているのが逆に空々しく、後味の悪さはいただけない。

 続けなければならない理由はわかるのだが、ここまでして続けることにいったい何の意味があったのか。コロンボの新シリーズはいろいろな課題を持つけれど、この回はマジに存続最大の危機だったのではないだろうか。


テーマ:刑事コロンボ - ジャンル:映画




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