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探偵小説三昧

日々,探偵小説を読みまくり、その感想を書き散らかすブログ


中町信『暗闇の殺意』(光文社文庫)

 近年、再評価著しい中町信ではあるが、そうはいってもがんばっていたのは結局創元のみ。だがここにきてようやく他の版元も興味をもってくれたようだ。本日の読了本『暗闇の殺意』は、なんと光文社文庫からの新刊である。
 ちょっと嬉しいのはこれが短編集だということ。アンソロジーでいくつか読んだことはあるけれど、やはりそれでは断片的な記憶でしか捉えることができず、こういう企画は大歓迎である。

 暗闇の殺意

「Sの悲劇」
「年賀状を破る女」
「濁った殺意」
「裸の密室」
「手を振る女」
「暗闇の殺意」
「動く密室」

 収録作は以上。
 ダイイング・メッセージから密室、アリバイ崩し、そしてお馴染み叙述トリックなど、非常にバラエティに富んだ構成である。中町信がいかにトリックメイカーだったか、またいかに真摯にミステリに向かい合っていたかというのが理解できる構成ともいえるだろう。
 ただ、幅広さを追求した結果か、出来には若干のバラツキもあり、本書をもって著者のベストとは言いがたい。まだいくつか有名な作品も残っているし、元々国産ミステリの復刻には熱心な光文社文庫から出たということで、これは次の短編集を期待していいという意味なのだと理解しておこう(笑)。

 バラツキ云々についていうと、やはりパズル性が出すぎた作品は厳しい。特にダイイング・メッセージ物にそれが顕著で、個人的には「Sの悲劇」のトリックそのものの弱さ、「年賀状を破る女」の不自然さ、「濁った殺意」のあざとさは少々辛い。
 一方で「裸の密室」、「手を振る女」、「暗闇の殺意」、「動く密室」もそれぞれ不自然さやあざとさはあるが、それが良い意味で発揮されている。特に「裸の密室」は物語としてはげすい一作ではあるのだが(笑)、密室と叙述が非常に上手くミックスされており、未読の方にはぜひおすすめしたい。

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Comments

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M・ケイゾーさん

ダイイング・メッセージは難しいですね。いまわの際になぜストレートなメッセージを書き残さないのか、トリックとしての存在意義の危うさは、数あるトリックのジャンルの中でもトップではないでしょうか。
本書のダイイング・メッセージもの三作を読むと、さすがの中町信もこのタイプのトリックは苦手だったのかなと思いました。

Posted at 22:53 on 02 01, 2014  by sugata

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「Sの悲劇」は、幻影城で読んだときに、ガッカリしすぎて再読したときにほとんど覚えてました。(評価は変わらず)

 「暗闇の殺意」予告を見たときに、何の改題だろうかと思いました。

Posted at 17:29 on 02 01, 2014  by M・ケイゾー

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Ksbcさん

ストーリーや舞台設定がなんとも地味というか日常的すぎて、非常にもったいないですね。トリックだけでなく、物語部分にもう少し山っ気を出していれば、リアルタイムで大ブレイクしたような気もするのですが。

Posted at 23:10 on 01 31, 2014  by sugata

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読んでいるところでした。

ご無沙汰しております。
本書を読んでおりましたので、この記事を読まないでおきました。
長編だとげすい部分も若干薄まって味になっているのですが、短いとそこら辺が悪く言うと「2時間ドラマ」みたいで…。個人的には表題作でしょうか。

Posted at 12:47 on 01 31, 2014  by Ksbc

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Author:sugata
ミステリならなんでも好物。特に翻訳ミステリと国内外問わずクラシック全般。
四半世紀勤めていた書籍・WEB等の制作会社を辞め、2021年よりフリーランスの編集者&ライターとしてぼちぼち活動中。

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