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 このところ購入した新刊。まず論創社からは『新羽精之探偵小説選I』、A・K・グリーン『霧の中の館』、M・R・ラインハート『レティシア・カーベリーの事件簿』の三冊。先日『鯨のあとに鯱がくる』を読んだばかりの新羽精之にも驚いたが、A・K・グリーンとラインハートのHIBK(もし知ってさえいたら)派の固め打ちにもビックリである。
 創元からはクリスチアナ・ブランド『領主館の花嫁たち』、エドワード・D・ホック『サイモン・アークの事件簿V』、カーター・ディクスン『殺人者と恐喝者』。『殺人者と恐喝者』は原書房版の文庫化ではなく新訳ということでゲット。出版の経緯が知りたいところである。
 文芸社からは天瀬裕康、渡辺玲子による渡辺啓助の評伝『カラスはなぜ啼く、なぜ集う』。これも探偵小説好きには見逃せない一冊。
 忘れた頃にとんでもない本を出してくれる作品社からはバロネス・オルツィ『隅の老人【完全版】』。隅の老人ものの全三冊をコンプリートした衝撃の書。この形でホームズのライヴァルたちを根こそぎ出してくれると嬉しいなぁ(笑)。


 買った本の話ばかりでもアレなので、読んだ本の話も。ものはジョン・ブラックバーンの『闇に葬れ』。

 十八世紀の画家であり詩人のレイルストーン。彼の遺体が収められている納骨堂には、彼の知られざる多くの作品も一緒に残されていると噂されていた。その納骨堂を掘り起こし、世に出すべきだと主張する集団もいたが、その裏ではダム建設計画が進み、納骨堂も水の底に沈められようとしていた。
 そんななか、一人の男が納骨堂に潜入するが、中からは不気味な笑い声が。そして……。

 闇に葬れ

 ブラックバーンの作品は、今でこそいわゆる伝奇ミステリという言い方もできるのだろうが、創元で『リマから来た男』や『小人たちがこわいので』が刊行された当時は、まずその売り方に苦労したのではなかろうか。本格の要素もあり、ホラーでもあり、SFでもある。そのいろいろな要素がクロスオーバーされ、独特のブラックバーンならではの味となる。

 先に伝奇ミステリとは書いたが、実は伝奇ミステリとも若干違う。これについては解説で宮脇孝雄氏がうまいことを書いているのだが、ブラックバーンは本格やホラーといった要素を融合するのではなく、混合させているというのである。つまり途中まで警察小説だったのが突然ホラーになったり、ホラーが急に本格ミステリになったりするのである。
 バランスの悪さは当然にあるが、これを勢いに任せて持っていくのがブラックバーンの魅力である。
 本作ではいかにも典型的なホラーといったスタイルで始まるが、途中でミステリ的な味つけが入りつつ、後半は一気にモンスターSF。風呂敷の広げ方がすごくて、どうやって収拾をつけるのかと思っていると、意外にきれいにまとめるところはやはり侮れない。

 バカ話と言えばバカ話なので好き嫌いはあるのだろうが、もともと怪獣映画等が好きな管理人には全然許容範囲、というかむしろ大好物。同好の士は騙されたと思ってぜひお試しください。

テーマ:推理小説・ミステリー - ジャンル:本・雑誌




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