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 藤原編集室さんのサイト「本棚の中の骸骨」によると、先般終了とあいなった晶文社ミステリのために用意していたものが、秋頃に河出書房新社から新シリーズとしてスタートすることになったそうな。とりあえずジャック・リッチー短篇集 『10ドルだって大金だ』(仮題)、マイクル・イネス 『アララテのアプルビイ』、グラディス・ミッチェル 『The Mystery of a Butcher's Shop』などが進められるらしい。奇想コレクションといい、河出、本当にがんばってますな。
 ただ、河出といえば、本格ミステリコレクションの第二期とかの予定はないのですかね? 宮野叢子とかすごく読んでみたいのだが。

 本日の読了本は朝山蜻一『白昼艶夢』。ロバート・ブロックに続いて異色作家つながり。ただ、異色度は朝山蜻一の方が遙かに上だろう。なにせフェチシズムやSMといった特殊な性愛をテーマにこれだけミステリを書いた人は他に類を見ない。収録作は以下のとおり。

「くびられた隠者」
「女には尻尾がある」
「白昼艶夢」
「楽しい夏の思い出」
「不思議な世界の死」
「ひつじや物語」
「巫女」
「死霊」
「人形はなぜつくられる」
「泥棒たちと夫婦たち」
「虫のように殺す」
「変面術師」
「矮人博士の犯罪」
「掌にのる女」
「僕はちんころ」
「天人飛ぶ」

 「くびられた隠者」や「白昼艶夢」はアンソロジーでもよく採られる代表作。ネタがSMだけに人によっては嫌悪感を抱くだろうが、基本的に文章のこなれた作家なので、安っぽいエロさは感じず、その異常嗜好にはまる人々の心情や転落の様子がリアルに迫ってくる。
 しかしながら、ここまでくると別にミステリにする必要はないのではないだろうか。実際、ミステリとしての仕掛けも大したことがないうえ、作品のテーマやプロットも似たようなものが多いわけで、作者が書きたいのはミステリではなくあくまで人間の性愛なのだろう。それが昇華・消化できていない作品はやはり評価も低くなる。前述の代表作はいいとして、「ひつじや物語」「変面術師」あたりはいったいどう評価したらよいものやら。
 ちなみに朝山作品であと手軽に読めるのは扶桑社文庫『真夜中に唄う島』ぐらいだが、こちらは長編を二つ収録したもの。この特殊な味が長編でどう活かされているのか、これも近日中に試してみることにしよう。


テーマ:推理小説・ミステリー - ジャンル:本・雑誌




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