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チャールズ・ボーモント『予期せぬ結末2 トロイメライ』(扶桑社ミステリー)
本日は終日、人間ドック。この一年で歩く距離と食事に気をつけた結果、体重を7㎏ほど落とすことに成功したので、各種数値が軒並みいい結果である。年のせいでここ数年は何かと病院のお世話になることも多いのだが、あきらめちゃいかんね、何事も。何をいまさらだが(苦笑)。
で、本日は人間ドックの待ち時間にせっせと読んだチャールズ・ボーモントの短編集『トロイメライ』の感想など。平成版異色作家短編集ともいうべき扶桑社の「予期せぬ結末」シリーズからの一冊である。
まずは収録作。
Blood Brother「血の兄弟」
Mourning Song「とむらいの唄」
Träumerei「トロイメライ」
The Devil, You Say?「悪魔が来たりて――?」
Three Thirds of a Ghost「幽霊の3/3」
Gentlemen, Be Seated「秘密結社SPOL」
The Murderers「殺人者たち」
Fritzchen「フリッチェン」
Place of Meeting「集合場所」
Elegy「エレジー」
The Beautiful People「変身処置」
Something in the Earth「老人と森」
Last Rites「終油の秘蹟」

「血の兄弟」から「秘密結社SPOL」までがホラー系。ミステリ系の「殺人者たち」を一作挟んで、「フリッチェン」から「終油の秘蹟」までがSF系という、バラエティに富んだ構成である。ボーモントの未訳と傑作を程良くブレンドさせる意図もあったようだが、ボーモントというブランドからすればハズレはほとんどないのがわかっているし、まずは誰が読んでも安心して楽しめる一冊といえるだろう。
ただ、異色作家とはいえ、書かれた時代が時代だし、どうしてもキレのあるオチやインパクトだけを期待すると無理はある。ボーモントの場合は世界観やテーマも絡めて読むべき作家なので、もはやクラシックや古典に接するぐらいの気持ちで味わうのがおすすめだろう。
お気に入りを挙げるなら、まずはボーモントには珍しい怪獣小説の「フリッチェン」。最初は憎らしいまでに定石を踏まえた展開である。徐々に恐怖をあおりつつ、平行してモンスターの謎を少しずつ明らかにするというのは正に怪獣ものの王道。ただし、ボーモントはラストで彼ならではのトドメを刺してみせる。
「集合場所」はSFとホラーの融合。オチがすべてのような作品だが、実はこういう作品だからこそ過程をじっくり読みたいし、読ませてもらいたいのだ。難しいだろうけど、あえて映像化してみてもいいのではないか。ただ、ハリウッド向きではないぞ。
「変身処置」と「老人と森」は、「集合場所」とは反対にオチというほどのオチはなく、それこそテーマと味わいで読ませる。こういうのがあるからボーモントは読まなきゃならないのだと思わせる好例である。
なお、「予期せぬ結末」シリーズの次巻はロバート・ブロックが予定されているようだが、若干、刊行ペースが遅くなってきているようで心配。せめて本家と同じぐらいは続けてほしいものだが。
で、本日は人間ドックの待ち時間にせっせと読んだチャールズ・ボーモントの短編集『トロイメライ』の感想など。平成版異色作家短編集ともいうべき扶桑社の「予期せぬ結末」シリーズからの一冊である。
まずは収録作。
Blood Brother「血の兄弟」
Mourning Song「とむらいの唄」
Träumerei「トロイメライ」
The Devil, You Say?「悪魔が来たりて――?」
Three Thirds of a Ghost「幽霊の3/3」
Gentlemen, Be Seated「秘密結社SPOL」
The Murderers「殺人者たち」
Fritzchen「フリッチェン」
Place of Meeting「集合場所」
Elegy「エレジー」
The Beautiful People「変身処置」
Something in the Earth「老人と森」
Last Rites「終油の秘蹟」

「血の兄弟」から「秘密結社SPOL」までがホラー系。ミステリ系の「殺人者たち」を一作挟んで、「フリッチェン」から「終油の秘蹟」までがSF系という、バラエティに富んだ構成である。ボーモントの未訳と傑作を程良くブレンドさせる意図もあったようだが、ボーモントというブランドからすればハズレはほとんどないのがわかっているし、まずは誰が読んでも安心して楽しめる一冊といえるだろう。
ただ、異色作家とはいえ、書かれた時代が時代だし、どうしてもキレのあるオチやインパクトだけを期待すると無理はある。ボーモントの場合は世界観やテーマも絡めて読むべき作家なので、もはやクラシックや古典に接するぐらいの気持ちで味わうのがおすすめだろう。
お気に入りを挙げるなら、まずはボーモントには珍しい怪獣小説の「フリッチェン」。最初は憎らしいまでに定石を踏まえた展開である。徐々に恐怖をあおりつつ、平行してモンスターの謎を少しずつ明らかにするというのは正に怪獣ものの王道。ただし、ボーモントはラストで彼ならではのトドメを刺してみせる。
「集合場所」はSFとホラーの融合。オチがすべてのような作品だが、実はこういう作品だからこそ過程をじっくり読みたいし、読ませてもらいたいのだ。難しいだろうけど、あえて映像化してみてもいいのではないか。ただ、ハリウッド向きではないぞ。
「変身処置」と「老人と森」は、「集合場所」とは反対にオチというほどのオチはなく、それこそテーマと味わいで読ませる。こういうのがあるからボーモントは読まなきゃならないのだと思わせる好例である。
なお、「予期せぬ結末」シリーズの次巻はロバート・ブロックが予定されているようだが、若干、刊行ペースが遅くなってきているようで心配。せめて本家と同じぐらいは続けてほしいものだが。