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 Let it go~Let it go~というわけで、遅ればせながら先週末、劇場に足を運んで観てきたのが『アナと雪の女王』。
 原案はアンデルセン童話『雪の女王』とのことだが、ストーリーはほぼオリジナルで、中身は別物と考えたほうがよい。雪と氷を操る能力を持つ女王エルサ、そして彼女を救うため冒険の旅に出るエルサの妹アナ。二人の主人公を通して、真実の愛とは何かが描かれる。

 ※ちなみに今回はネタバレありのため未見の方は注意

 アナと雪の女王

 とりあえず門外漢のおっさんが観ても、映画の方は十分楽しめる出来であった。個人的にディズニーのアニメ映画にそれほど思い入れがあるわけではなく、たぶん『トイ・ストーリー』以来ではないかと思うのだが、いまやアナ雪は、そんな人間ですら一応観ておくかという気にさせるだけのパワーを持っている。社会現象と言われるのも頷ける話だ。

 では人気の秘密は何だろうとつらつら考えたとき、まずはテーマの現代性が挙げられるだろう。
 画一的な価値感ではなく個性を尊重する、はたまた抑圧された日常からの自己を解放するという方向性は、現代の社会が抱える問題にも通じるところである。
 個性の発揮、自己開放は極端に言えば好き勝手に生きるということである。自分の思うがままに生きるということなのである。そんな人ばかりが交われば、当然それは他者との衝突を生むだろう。それでは困る。だからといって、それゆえに個性を封印してしまえば、みなが同じ生き方をするのはこれまた悲しい話であり、そんな人生のどこが楽しいのかということにもなる。
 そんなジレンマを解決する手段が、愛であり、思いやりである。個性と書いたが、これは人間性ということだけではなく、財産であったり、腕力であったり、知力であったりする。これらの力を愛と思いやりをもって使うのなら、人は幸せになれるというわけである。

 なんてことを、エルサとアナをはじめとした登場人物たちが、テンポのよいストーリーや美しい映像、素晴らしい挿入歌によって教えてくれるのが『アナと雪の女王』なのだ。
 しかも、ここが重要なポイントだけれど、本作ではその愛や思いやりは王子様からもたらされるものではないところがミソ。だからこそ世の女性たちの共感を呼んだのではないか。
 まあ、すべての要素が満点だとは思えないし、 特別、突出した"何か”があるとは正直思えないのだが(苦笑)、ケチをつけにくいというか、どの要素をとっても70点は軽くクリアする出来であり、そのトータルバランスの良さは見事だ。

 ひとつだけ気になったのは、ハンス王子の存在である。
 王位のためにはエルサやアナの命までも奪おうとする悪党だが、実はその伏線らしきものがラストまでまったく明かされない。
 アナとの出会いのシーン、エルサにアナとの結婚を認めてもらえなくて困惑するシーン、もう一人の悪党ウェーゼルトン公爵に凄むシーン、マシュマロウに立ち向かうシーン、氷の城でエルサを救うシーン、アナに真相を告白して部屋に閉じ込めるシーン、エルサを殺害しようとするシーン……。ハンスの見せ場はいろいろあるのだが、伏線が明かされないどころか、実はこれらのハンスが同一人物に思えないくらい性格が場面場面で変わるのである。善悪をはっきりと描写するディズニー映画でこれは珍しい。
 これは要するにハンスが絶対悪ではなく、それこそ個性の喪失を象徴しているのではないだろうか、などと考えていたら、どうやら制作サイドからハンスは鏡のような存在なのだというメッセージがアップされているらしい。なるほど、場を強化する役目なのか……と思わず感心しそうになったが、それはそれで何だか意義がわかりにくい。あくまで管理人としては、個性を喪失させようとする圧力を象徴する存在、それがハンスだと思いたい。

 まあ、こんな深読みをいろいろとやらせてくれるのも、この映画の魅力のひとつではあるのだろう。ううむ、まんまとディズニーに踊らされておりますのう(笑)。





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