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 たまたま仕事の都合がうまくついたので、本日は平日休み。疲れもあるので家でゴロゴロしていようかとも思ったが、昼飯がてら埼玉の「あけぼの子どもの森公園」までクルマをとばしてみる。
 実はここは隠れたムーミン・スポット。大々的にムーミン公園とは謳っていないが、正式に著者のトーベ・ヤンソンから許可を受け、ムーミン世界の「自然との共生」とか「自我と自由の尊重」理念を掲げた公園なのだ。
 キャラクターの認可を受けてはいないらしく、ムーミンそのものはいないのが玉に瑕だが(笑)、建物や雰囲気の再現度はなかなかのもので、初めて見る人ならちょっと驚くぐらいのレベルはある。
 ちなみにそれほどの広さはなく、レストラン等の類もないのが惜しい(売店のムーミングッズはなかなか充実しているけれど)。天気の好い日などに弁当持参でくるのが吉。

あけぼの子どもの森公園



 そんなわけで本日の読了本も、ムーミン・シリーズの第四作『ムーミンパパの思い出』。
 本作はムーミンパパが主人公を務める異色作である。あるとき風邪をひいたのがきっかけで、自分の生い立ちを本に残しておこうと決めたムーミンパパ。自叙伝を日々書きつづっては、できたところまでをムーミントロールやスニフたちに語って聞かせるという結構だ。
 あくまでメインはパパの物語パートだが、骨休みのような形で現在のムーミンたちのパートが入り、いいアクセントになっている。

ムーミンパパの思い出

 もちろんムーミンパパのパートも面白い。というか、これまでシリーズを順番に四作読んでみたが、そのなかでは一番気に入った作品である。
 気に入った理由はいろいろあるが、まずは何といってもムーミンパパのキャラクター。ムーミントロールにも受け継がれた冒険心・好奇心に加え、芸術的志向が強くて、ムーミントロールをさらにパワーアップした感じである。
 その性格が元になってさまざまな事件を巻き起こしたりするので、実はけっこう迷惑で痛い奴でもあるのだが、そのピュアな精神はストレートにこちらの心に響いてくる。
 建前とかは無縁である。ムーミンパパをはじめとする住人たちは、それこそありのままの人たちなのだ。だから現代人が避けては通れない諸々のしがらみをムーミンパパたちは易々と(そうじゃない場合もあるけれど)乗り越えて進んでいく。
 大人にこそ読んでもらいたいというのはムーミン物語を褒めるときの常套句だが、まさしくその通りなのだ。そんなムーミンたちの生き方なんて普通にはできないからこそ、この物語を読んで、そういった正しい感覚を忘れないようにしないといけないのだ。

 まあ、そんな固く考えなくてもいいか。本作はムーミンパパの物語だが、同時に物語全体の設定をかなり明らかにしてくれるという意味でも楽しい。
 ムーミンパパが孤児で、孤児院を脱走して冒険に乗り出すというオープニングだけでも衝撃的なのに、スニフのパパ"ロッドユール"やスナフキンのパパ"ヨクサル"との出会い、スナフキンとミイの関係、ムーミンママとの出会いなど、見どころ目白押しである。
 そしてラスト。唐突ではあるが、いつものように必ず希望の灯りを点して幕を閉じるのが素晴らしい。

 アニメでしか知らなかったムーミンパパのイメージを、圧倒的に変えてくれる一作。堪能しました。

テーマ:児童文学 - ジャンル:本・雑誌




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