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 ネレ・ノイハウスの『白雪姫には死んでもらう』を読む。オリヴァー主席警部とピア警部のコンビを主人公とするドイツの警察小説のシリーズ。
 
 連続少女殺害事件の犯人トビアスが刑期を終えてアルテンハイン村に帰ってきた。彼はずっと冤罪であると訴えていたが、司法はもちろん仲の良かった村人たちからも信用されず、家族共々村から孤立する。
 同じ頃、空軍基地の跡地にある燃料貯蔵槽から人骨が発見された。検死の結果、正にトビアスが殺害したとされる少女のものであった。
 過去の記憶が炙り出され、村に緊張が走る中、とうとう悲劇が起こる。トビアスの母親が歩道橋から突き落とされるという事件が起こったのだ。捜査に当たるオリヴァー主席警部とピア警部だったが、アルテンハイン村が抱える闇の深さに捜査は難航する……。

 白雪姫には死んでもらう

 前作『深い疵』もかなりの力作だったが、本作もそれ以上に力の入った作品である。
 重いテーマ、緊密なプロットとテンポの良いストーリー展開、丁寧な描写など、警察小説としてクリアしておきたい要素がことごとくクリアされており、非常に完成度の高い作品に仕上がっている。

 特に本作では、冤罪と村社会が抱える闇の部分にスポットを当てており、これが前作同様、相当に重い。冤罪の重さは言われるまでもないだろうが、その冤罪がどのように起こってしまったのかが読みどころとなる。単に犯人のトリックとか警察の誤捜査とかではない。村社会の抱える人間関係の複雑さ、人間がそもそも秘めているおぞましい部分が混然となって悲劇は引き起こされる。
 そんな混沌とした事件が、オリヴァーとピアによって少しずつ解明されていく。前作もそうだったが、著者のプロットの構築力がはんぱではなく、よくこれだけのストーリーに落とし込んだなというのが率直な気持ち。
 内容自体は決して爽快な物語とは言えないのだが、この複雑な謎が解明されていく様は、やはりミステリの醍醐味である。

 ただ、前作もそうだったが、あまりにも忙しない場面転換が少し煩わしい。これだけ重いストーリーなので無理にスピード感を煽る必要はないと思うのだが。
 逆にシリーズキャラクターのエピソードはもう少し軽い方がよいのではないか。メインとなるストーリーが十分に複雑かつ重いのに、サイドのエピソードにもけっこうな量を費やしており、全体のボリュームとバランスを考えるともう少しスリム化は考えるべきだろう。そういったエピソードとメインストーリーの相乗効果や奥行きの出し方もわかるのだが、やはり全体的には重すぎる。

 と、いろいろケチをつけつつも、本作も間違いなく警察小説の傑作。そろそろ未紹介の一作目、二作目から順に翻訳してもいい頃ではないだろうか。


テーマ:推理小説・ミステリー - ジャンル:本・雑誌




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