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大坪砂男『大坪砂男全集4零人』(創元推理文庫)
『大坪砂男全集4零人』を読む。三巻を読んでからずいぶん間が空いてしまったが、本書をもって全巻読了である。ジャンル別に編纂されたこの全集だが、一巻では本格推理篇、二巻では奇想篇と時代篇、三巻はサスペンス篇と編まれてきた。そして最終巻たる四巻では幻想小説篇とコント篇、SF篇という構成。加えて随筆&関連資料という圧倒的ボリュームである。

幻想小説篇
「零人」
「幻影城」
「黄色い斑点」
「幻術自来也」
コント篇
「コント・コントン」
「寸計別田」
「階段」
「賓客皆秀才」
「銀狐」
「日曜日の朝」
「憎まれ者」
「露店将棋」
「蟋蟀の歌」
「三つのイス」
「現代の死神」
「ビヤホール風景」
「天来の着想」
「旧屋敷」
SF篇
「プロ・レス・ロボット」
「ロボット殺人事件」
「ロボットぎらい」
「宇宙船の怪人」
収録作は以上。幻想小説篇では語りの妙と予想だにしない設定が楽しめる「零人」と「幻影城」がまずおすすめ。読みにくい読みにくいとはよく言われるし、完成度が高いかと言われれば確かにうっと言葉に詰まるところはあるけれど、管理人などはあの練られた文体にまず引き込まれるのであって、それが奇妙な物語との相乗効果で酩酊感はピカイチ。
コント篇はショートショートといってよいものばかりで、全体的には低調である。ただ、幻想的なタイプには光る作品もあり、それほど馬鹿にしたものではない。「コント・コントン」「階段」「蟋蟀の歌」あたりが印象に残った。あ、少ないな(苦笑)。
表の目玉が「零人」なら、裏の目玉はSF篇の「ロボット殺人事件」だろう。もとは学生向けの連載ながらこれは見逃せない。なんと本作は、アシモフのロボット三原則をベースにしたSFミステリなのだ。
ロボット工学が進んだ時代。かつて人間同士の戦いを見せていたプロレスは、いまやロボット同士のバトルに進化していた。しかし、白熱した試合が決着したとき、レフリーが負けた選手によって殺害される事件が起こる。アシモフの三原則が組み込まれたロボットだから、本来は人間に危害を加えないはず、いったいなぜ?……という一篇。
まるでリチャード・マシスンの『リアル・スティール』とアシモフの『鋼鉄都市』をたして二で割ったような作品、といえば聞こえはいいが、そんな格好いいものではない。むしろ苦笑混じりでないと読めないような代物だ。
探偵役もホームズそっくりに作られたロボットで、それこそコンピュータのように理路整然とした推理を働かせる。そりゃそうだよ、頭はコンピュータだものなぁ。
とにかくプロレス好きアシモフ好きの管理人としては、こんなオバカな作品が読めたことに感謝するしかない。これだけは読め、読んで悶絶してくれ(笑)。

幻想小説篇
「零人」
「幻影城」
「黄色い斑点」
「幻術自来也」
コント篇
「コント・コントン」
「寸計別田」
「階段」
「賓客皆秀才」
「銀狐」
「日曜日の朝」
「憎まれ者」
「露店将棋」
「蟋蟀の歌」
「三つのイス」
「現代の死神」
「ビヤホール風景」
「天来の着想」
「旧屋敷」
SF篇
「プロ・レス・ロボット」
「ロボット殺人事件」
「ロボットぎらい」
「宇宙船の怪人」
収録作は以上。幻想小説篇では語りの妙と予想だにしない設定が楽しめる「零人」と「幻影城」がまずおすすめ。読みにくい読みにくいとはよく言われるし、完成度が高いかと言われれば確かにうっと言葉に詰まるところはあるけれど、管理人などはあの練られた文体にまず引き込まれるのであって、それが奇妙な物語との相乗効果で酩酊感はピカイチ。
コント篇はショートショートといってよいものばかりで、全体的には低調である。ただ、幻想的なタイプには光る作品もあり、それほど馬鹿にしたものではない。「コント・コントン」「階段」「蟋蟀の歌」あたりが印象に残った。あ、少ないな(苦笑)。
表の目玉が「零人」なら、裏の目玉はSF篇の「ロボット殺人事件」だろう。もとは学生向けの連載ながらこれは見逃せない。なんと本作は、アシモフのロボット三原則をベースにしたSFミステリなのだ。
ロボット工学が進んだ時代。かつて人間同士の戦いを見せていたプロレスは、いまやロボット同士のバトルに進化していた。しかし、白熱した試合が決着したとき、レフリーが負けた選手によって殺害される事件が起こる。アシモフの三原則が組み込まれたロボットだから、本来は人間に危害を加えないはず、いったいなぜ?……という一篇。
まるでリチャード・マシスンの『リアル・スティール』とアシモフの『鋼鉄都市』をたして二で割ったような作品、といえば聞こえはいいが、そんな格好いいものではない。むしろ苦笑混じりでないと読めないような代物だ。
探偵役もホームズそっくりに作られたロボットで、それこそコンピュータのように理路整然とした推理を働かせる。そりゃそうだよ、頭はコンピュータだものなぁ。
とにかくプロレス好きアシモフ好きの管理人としては、こんなオバカな作品が読めたことに感謝するしかない。これだけは読め、読んで悶絶してくれ(笑)。
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