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 ロバート・クレイスの『容疑者』を読む。『もう年はとれない』に続き、年末ベストテンから気になるものを読んでみようシリーズ第二弾。おそらくこれが今年最後の読了本である。

 ロス市警のスコット刑事は相棒のステファニーとパトロール中、銃撃戦に巻き込まれる。ステファニーは死亡、スコットも重傷を負うが、事件は未だ解決の目処すら立っていなかった。
 一方、アフガニスタンで爆発物探知犬として従軍していたシェパードのマギー。マギーもまた任務中に相棒を亡くし、心身ともに大きな傷を負っていた。
 やがて両者はロス市警の警察犬隊でパートナーとして出会うことになるが、折しもスコットを襲った忌まわしい事件に新たな展開が……。

 容疑者

 おお、今年最後の一冊にこんな素晴らしい作品と出会えるとは。犬と人の友情を描いた感動的警察小説だ。

 相棒を失った者同士、過去の悔恨を引きずりながらも、新たな道に踏み出そうとする犬と人。両者が信頼関係をどのように作り上げ、新しい相棒となっていくかがメインテーマであり、事件と平行してその過程が描かれていく。
 展開はありがちといえばありがちなのだが、やはり描写の巧さが光る。特にマギーの視点を含めた犬の描写が非常に抑えた感じで絶妙。感動を誘おうとして極端に犬を美化したりするのではなく、あくまで犬の生態をきちんと踏まえたうえで物語にしているのが好ましい。
 果たしてこれが人間同士だとここまで感動的になったかどうか。最初の相棒と別れることになる序盤のエピソードから、心温まるラストシーンに至るまで、犬好きには堪らない描写満載。もう犬好き必読と言っておこう。

 ただ、ミステリとしてはやや弱いのが惜しい。事件の真相は一応ひねってはいるものの、正直かなり手垢がついたパターンなのは否めない。
 あまり贅沢は言えないけれど、ここがこちらの予想を一枚超えていれば、この十年でのベストテン級になったかもしれない。

 ちなみに最近ではもっぱらノンシリーズの作品ばかり刊行されるクレイスだが、もともとは私立探偵エルヴィス・コールのシリーズで日本に紹介された。
 いわゆるネオハードボイルドの一人であり、時期的には後発の部類だろう。作りは意外にオーソドックスながら、LAらしいというべきかライトな雰囲気が新鮮で、管理人も四冊ほど読んだものだが、いつのまにかこちらは翻訳も止まってしまった。
 とはいえ本国は今でもシリーズが続いており、スピンオフのジョー・パイク・シリーズも人気だそうな。この作品を機にエルヴィス・コール・シリーズも再評価されてもいいのにね。


テーマ:推理小説・ミステリー - ジャンル:本・雑誌



















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