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ジョン・クリーシー『トフ氏に敬礼』(論創海外ミステリ)
読了本はジョン・クリーシーの『トフ氏に敬礼』。論創海外ミステリから『トフ氏と黒衣の女』に続いて訳出されたトフ氏シリーズの第二弾である。
ちなみに『トフ氏と黒衣の女』が論創海外ミステリの第1巻だったにもかかわらず、それっきり第二弾がなかったので、やはりトフ氏ものはセールス的に厳しいのだろうとは思っていた。ところが38巻目にして、いきなりのラインナップ入り。正直、この叢書だけはどういう基準で作品を選んでいるのか、本当によくわからない(苦笑)。
トフ氏のもとを訪れたのはフェイと名乗る女性だった。行方不明の雇い主を捜し出してほしいという依頼に、その雇い主ドレイコットのフラットを訪ねたトフ氏は、そこでドレイコットらしき死体を発見する。だがトフ氏をフェイに紹介した知人から、つい三十分ほど前にドレイコットから電話があったという報告が入り、何やらトフ氏は事件そのものにきな臭いものを感じ始める……。
印象は『トフ氏と黒衣の女』の読後時とほとんど変わらず、やはりハードボイルドというよりは通俗的な活劇小説。ただ、通俗的とはいってもパルプ小説というよりは古い冒険小説のようなノリで、イメージとしては二十世紀初頭の古典的冒険小説なのである。といっても本書が書かれたのは、実は1941年。この数年後にスピレインが登場することを思うと、同じ通俗的な活劇小説でもずいぶんおっとりした印象はいなめないが、これこそ正統派英国冒険小説の流れともとれるわけで、本シリーズは英国だからこそ成功したのではないかと考えられる。ただクリーシーのサービス精神はさすがで、この程度の話にはもったいないと思えるほど複雑な状況を設けている(それが裏目に出ているようなところもあるが)。
ただ個人的には、トフ氏ものはもういいかなという感じ。それよりギデオン警視ものを訳してくれないものでしょうか?>論創社様
ちなみに『トフ氏と黒衣の女』が論創海外ミステリの第1巻だったにもかかわらず、それっきり第二弾がなかったので、やはりトフ氏ものはセールス的に厳しいのだろうとは思っていた。ところが38巻目にして、いきなりのラインナップ入り。正直、この叢書だけはどういう基準で作品を選んでいるのか、本当によくわからない(苦笑)。
トフ氏のもとを訪れたのはフェイと名乗る女性だった。行方不明の雇い主を捜し出してほしいという依頼に、その雇い主ドレイコットのフラットを訪ねたトフ氏は、そこでドレイコットらしき死体を発見する。だがトフ氏をフェイに紹介した知人から、つい三十分ほど前にドレイコットから電話があったという報告が入り、何やらトフ氏は事件そのものにきな臭いものを感じ始める……。
印象は『トフ氏と黒衣の女』の読後時とほとんど変わらず、やはりハードボイルドというよりは通俗的な活劇小説。ただ、通俗的とはいってもパルプ小説というよりは古い冒険小説のようなノリで、イメージとしては二十世紀初頭の古典的冒険小説なのである。といっても本書が書かれたのは、実は1941年。この数年後にスピレインが登場することを思うと、同じ通俗的な活劇小説でもずいぶんおっとりした印象はいなめないが、これこそ正統派英国冒険小説の流れともとれるわけで、本シリーズは英国だからこそ成功したのではないかと考えられる。ただクリーシーのサービス精神はさすがで、この程度の話にはもったいないと思えるほど複雑な状況を設けている(それが裏目に出ているようなところもあるが)。
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