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 本日の読了本はノンフィクションというべきか評論というべきか。野村恒彦の『探偵小説の街・神戸』を読む。

 探偵小説の街・神戸

 著者は神戸で探偵小説愛好会「畸人郷」を主催する野村恒彦氏。亜駆良人名義で書評なども行っており、マニアの間ではよく知られている方だが、神戸で開催された「探偵小説発祥の地・神戸」というイベントを機に、版元に勧められてまとめたのが本書だという。
 読む前はなんとなく神戸のミステリ的ガイドブック、古書にまつわるエッセイかと思っていたが、あに図らんや。もともと探偵小説には所縁の深い神戸という街であるが、その神戸と探偵小説の関係についての変遷を、時系列や作品で語るという内容である。

 確かにあらためて探偵小説の歴史を振り返ると、横溝正史と西田政治、江戸川乱歩との出会い、専門誌の誕生、愛好会の発足など、数々のシーンで神戸は重要な役割を果たしている。出身の探偵小説作家も多い。著者は自身が関わった”横溝正史生誕の地碑”建立の思い出も交えつつ、そんな神戸にまつわるエピソードや記録を綴っていく。丹念な取材や調査が必要であったことは想像に難くなく、まずは非常な労作といえる。
 時系列で語る部分と、専門誌や作家、作品などのポイントで語る部分のつながりがやや中途半端というか、構成的には一考の余地があるけれども、初めて知る情報もあり、全体的には実に興味深く、そして楽しく読めた。探偵小説好きにはもちろんおすすめである。

 そういえば野村氏は最近、退職されて、ついに神戸で古書店をオープンしたはず。神戸は学生時代に行ったきりだが、そのうち行ってみたいものだなぁ。


テーマ:評論集 - ジャンル:本・雑誌




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