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 遅ればせながらケーブルテレビのVODで『マレフィセント』を見る。グリム童話などでも知られる『眠れる森の美女』を、魔法使いマレフィセントの視点で描いたファンタジー映画。
 監督はこれが監督デビューとなるロバート・ストロンバーグで、主演はもちろんアンジェリーナ・ジョリー。テレビの予告編では強烈な魔法使いが印象的だったが、さて出来の方は如何に。

 こんな話。ヘンリー王が支配する人間の国と妖精が暮らすムーア国は、永らく互いの領分を侵さず、均衡状態を保っていた。あるときムーア国に迷い込んだ人間の少年ステファンは、翼をもつ妖精の少女マレフィセントと出会う。二人は恋に落ちたが、やがてステファンは王国で出世したいという野望を抱き、いつしかマレフィセントとは疎遠になっていく。
 時は流れ、人間国の王ヘンリーはとうとう妖精に戦争を仕掛けるが、成長したマレフィセントが治めるムーア国には敵わず、返り討ちにあう。ヘンリー王はマレフィセントを討った者に娘を与え、後継者にすると宣言した。
 これを聞いたステファンは王の座を射止めるため、マレフィセントと再会する。そして薬で眠らせて殺そうとするが、そこまでの勇気はなく、結局は彼女の翼を切り落とし、マレフィセントを倒した証とするのだった。
 マレフィセントは恋人の裏切りと翼の喪失によって、悲しみのどん底にいたが、すぐに気を取り直してステファンへの復讐を決意する。折しも王に即位したステファンと王妃との間にオーロラ姫という娘が誕生した知らせが入ると、マレフィセントはその洗礼式の日、城に乗り込んでいった。そしてオーロラに「16歳の誕生日の日没までに糸車に指を刺され死の眠りにつく」という呪いをかける。許しを乞うステファンに対し、マレフィセントは「真実の愛のキス」によって呪いが解かれだろうと告げるのだった……。

 本作はディズニー映画の製作だが、同じディズニーでアニメ版『眠れる森の美女』もあるので、そちらを観た人も多いだろう。本作はその実写版リメイクではあるのだが、上にも書いたように、魔法使いマレフィセントの視点で描いたところが大きなポイント。さらにいえば、絶対悪であるマレフィセントが、そもそも何故オーロラ姫に呪いをかけたのかという部分にスポットをあてている。
 立場や視点が変わることで、物語や歴史の様相がまったく異なって見えるというのは、いまや特別目新しい発想ではないけれど、素材によってはまだまだ面白いテーマであることは間違いない。
 だから、これまで絶対悪だったマレフィセントにも、実はいろいろな苦悩や葛藤があって……という展開はまあいい。しかしながら、いかんせんシナリオが軽いというか、単に善と悪をひっくり返しただけに思えるような描写は物足りない。つまり、そこに絶対的な正義や悪という決めつけをすることの怖さを、もう少し盛り込んでほしかった気がするのである。
 この善悪に関する部分が意外にあっさり決着がついてしまうので、結局、後半はアクションメイン、よくあるタイプの娯楽ファンタジー映画に落ち着いてしまうのが何とももったいない。

 全体的にはよくまとまっているし退屈はしないが、従来のファンタジー映画の域を決して超えるようなものではないだろう。ぶっちゃけいえば結局はアンジェリーナ・ジョリーのための映画なんだろうね。





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