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探偵小説三昧

天気がいいから今日は探偵小説でも読もうーーある中年編集者が日々探偵小説を読みまくり、その感想を書き散らかすページ。

 

国立新美術館「マグリット展」

 国立新美術館で開催されている「マグリット展」へ足を運ぶ。
 GW中は待ち時間が恐ろしいことになるのではと思い、あらかじめネットで当日券を事前購入し(現地で買うと「ルーヴル美術館展」と売り場が共通のため、ますます待ち時間がとんでもないことに)、さらには開館の20分前には現地入りする。すると10時開館のはずがすでに入場を開始しており、待ち時間なしであっさり入場できてしまう。まあ、ちょっと拍子抜けの感はあるが、備えあれば憂いなしということで(ちなみにルーヴル美術館展の方は開館前にすでに百人ほどの行列がありました)。

 マグリット展1

 マグリット展2

 さて、今回のマグリット展は彼の業績を万遍なく集めた集大成的なものであり、個人的にもシュールなものや幻想的な作品が好きなこともあって、前々から楽しみにしていた展示会である。比較的ゆっくり見ることもできたし、質的にも量的にも期待を裏切らない展示会であった。
 「光の帝国II」や「白紙委任状」「陵辱」「ゴルコンダ」「空の鳥」等々の有名作品が多く見られるのはもちろん嬉しいのだが、初期の作品には初めて見るものも多く、そちらも興味深かった。正直、後期ほど作風が確立されていないというか、何だかんだと人の影響を受けたような作品もちらほらあるのが何とも。やっぱり名作は簡単にポンと生まれたのではなく、こういう過程を経ての結果なのか。

 マグリットがつける題名も人を食っていて楽しい。彼は絵の力以上に言葉の力を信じているところもあって、テーマを決めてもそこから思考を積み重ねひねくり回し、それをキャンバスに落とし込んでいる感じである。
 だから絵の題名(テーマ)と実際に描かれたものの間にはえらく開きがあるわけで、それをつなぐものが何なのか考えるのが、鑑賞する側の務めでもあり楽しさでもある。
 ちなみに主要作品の幾つかにはマグリット自身によるコメントも付されていたが、ぶっちゃけ何を言っているのかわからないものが多かったのは秘密(笑)。もう少し親切な解説をつけてくれてもよかったんではないか。

 お土産は図録にマグネット式の栞を購入。ちなみに図録が2,800円という価格であの作りというのは驚異的お買い得である。いったいどれだけ刷っているんだろう?
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Comments
 
マグリット展は先日10万人動員が出ていましたから、だいたい1ヶ月で10万人ですね。あと2ヶ月残っているとはいえ、今後はゆるゆる下り坂でしょうから何とか東京で20万人、京都をあわせても30万人動員がひとつの目安ではないでしょうか。以前あった「だまし絵展」は75万人動員したらしいのですが、こちらは一般層も取り込めるのに対し、マグリット単体となるとやはり限界があるでしょうね。
さて、そのうち何%の方が図録を買ってくれるのか。そこそこ高めの価格をつけても図録やパンフレットが売れ筋であることは間違いないんですが、あの造りであの値付けだと、1万部とかではコスト的に厳しいような気がします。採算ラインを考えると2〜3万部あたりまでいくと余裕なんでしょうが、ううむ、そうなると確かに10%の人が買ってくれるかどうか、ですね。
まあ、図録は客引き用で、他のグッズで見込む手もありますが(そういえば図録以外のグッズは全体的にかなり高めでしたね)。

>しかし、そういうのが気になるのはやはりご職業ガラですねえw。

そのとおりです。いくつ作るかがいつも悩みのタネですw
 
なんたって、ミシンとコウモリ傘の出逢い…の世界観ですから、意味なんか考えた時点で負けですよww。私は図録って滅多に買わないんですが、お土産コーナーでは買って行く人をよく見かけますね。少なく見積もって1%として、ルーヴル展みたいに百万人くらい動員しそうな展覧会で1万部? 感覚的にはもうちょっと買ってく人の割合高そうですけど10%はないかなあ。
しかし、そういうのが気になるのはやはりご職業ガラですねえw。
 
少佐さん

内容が高度なこともありますが、訳文が日本語になってないといいますか(苦笑)。

図録は解説云々を抜きにしても、あの品質であの値段はなかなかできないです。まあ、十万部ぐらい売れるのなら話は別ですが。
下世話な話ですけど、ああいう美術展の図録って、いったい何万部ぐらい売れるものなんでしょうね。
 
> ぶっちゃけ何を言っているのかわからないものが多かったのは秘密(笑)。もう少し親切な解説をつけてくれてもよかったんではないか。

それ来場者のほとんどが思ったと思いますよw ( ゚д゚)ハッ! 詳しい解説は図録を参照ということで買わせようという魂胆か?!(だからお値打ち価格?)

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プロフィール

sugata

Author:sugata
ミステリならなんでも好物。特に翻訳ミステリと国内外問わずクラシック全般。
四半世紀勤めていた書籍・WEB等の制作会社を辞め、2021年よりフリーランスの編集者&ライターとしてぼちぼち活動中。

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