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探偵小説三昧

天気がいいから今日は探偵小説でも読もうーーある中年編集者が日々探偵小説を読みまくり、その感想を書き散らかすページ。

 

マイクル・コナリー『判決破棄(上)』(講談社文庫)

 マイクル・コナリーの『判決破棄』を上巻まで。

 判決破棄(上)

 昨年の秋頃に出た弁護士ミッキー・ハラー・シリーズの最新刊だが、別シリーズの主人公ハリー・ボッシュやレイチェル・ウォリングも共演する豪華版である。
 といっても最近のコナリーの作品は共演が当たり前になってきているので、最初のころはともかく、今ではそれほどのワクワク感はない。むしろ共演が多すぎて、どうなんだろう?と思うこともしばしばである。

 それぞれのシリーズは、それなりの意味や目的があって主人公を変えているはず。つまりシリーズごとにテーマが異なるのである。だからそんな意味合いが違うシリーズの主人公を共演させることで、そのテーマやメッセージ性がぼやけるのは避けられない。
 まあ一回や二回の共演なら相乗効果、あるいは個性がぶつかることで違った魅力が生まれる場合も期待できるだろう。とはいえダラダラ共演を続けてしまってはマンネリは避けられないし、おそらくどちらかの主人公の輝きは失せていってしまうのではないか。そんな不安があるのだ。

 本作は果たしてこの不安を吹き飛ばすような物語になっているのか。作品そのものの出来はもちろん気になるが、シリーズの先行きにも注目しつつ下巻にいってみよう。

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プロフィール

sugata

Author:sugata
ミステリならなんでも好物。特に翻訳ミステリと国内外問わずクラシック全般。
四半世紀勤めていた書籍・WEB等の制作会社を辞め、2021年よりフリーランスの編集者&ライターとしてぼちぼち活動中。

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