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探偵小説三昧

日々,探偵小説を読みまくり、その感想を書き散らかすブログ


フランク・グルーバー『フランス鍵の秘密』(ハヤカワミステリ)

 『フランス鍵の秘密』読了。何やらクイーンの国名シリーズのようなタイトルだが、作者はフランク・グルーバー。軽ハードボイルドというかユーモア・ミステリというか、早い話がジョニー&サム・シリーズの第1作である。

 相も変わらぬ貧乏で、宿泊費の滞納からホテルの部屋を閉め出されたジョニー・フレッチャーとサム・クラッグの二人。荷物だけでも取りもどすため、隣の部屋から窓づたいに自室へ入ってみると、そこには何と喉を掻き切られた男の死体が。しかもその手には時価一万五千ドルはしようかという稀少な金貨が握られている。金貨に群がる人々、渦巻く欲望をかきわけて、ジョニー&サムの活躍が始まる。被害者の正体は? この部屋で殺されたわけは? そして犯人は?

 本書はジョニー&サム・シリーズの第1作であると同時に、作者のミステリ第一作でもある。狙ったところが・E・Sガードナーやジョナサン・ラティマーというから、ミステリとしては端からそれほど凝ったものではないわけで、そもそも読みどころは主人公二人の掛け合いやドタバタにある。そういう彼らの活躍も含めて、むしろこの時代のアメリカの風俗がいきいきと描写されている点に注目すべきであろう。要は気軽に楽しめば、それでよい一冊なのだ。

 ただ残念なのは、いまひとつ文章のリズムが悪く、思った以上に読みにくかったこと。基本的にひとつひとつのセンテンスは短いから、読みやすくてしかるべきなのに、文章が流れていかない。
 また、語尾が異常にワンパターンなのも困りもの。創元推理文庫のものを読んだときにはあまり意識しなかったので、これは翻訳のせいであろう。セリフはもちろんだが、地の文章にもある種の味が必要なタイプの本だけになんとも歯がゆい。

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sugata

Author:sugata
ミステリならなんでも好物。特に翻訳ミステリと国内外問わずクラシック全般。
四半世紀勤めていた書籍・WEB等の制作会社を辞め、2021年よりフリーランスの編集者&ライターとしてぼちぼち活動中。

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