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 先日観たDVDの感想をひとつ。おなじみ007シリーズから第十七作目の『007 ゴールデンアイ』である。前作から六年もの沈黙の後、1995年に公開された作品で、ジェームズ・ボンド役は五代目ピアーズ・ブロスナンにバトンタッチされた。

 本作はボンド役だけでなく、キャストや設定が一新されたことでも知られている。制作者や監督が替わり、Mは女性に変更。話全体の流れもティモシー・ダルトン・ボンド登場以前にリセットされている。
 大幅な変更となった理由もいろいろあるようだが、制作やキャスティングの事情といったところに加え、冷戦の終結などボンド映画をとりまく世情が変わったことも大きいだろう。同時代のアクション映画に比べ007シリーズが古さを感じさせるのはムーア・ボンドの後半あたりからけっこう言われていたことなので、コンテンツを再生すべく刷新を図ったというところか。
 結果、リニューアルは見事に当たり、内容的にも最新のアクション映画として甦り、興行的にも大成功を収めた一本となった。

 さてストーリー。オープニングの舞台はまだ崩壊する前のソ連である。時期的には1980年代後半といったあたりか。ボンドはソ連の化学兵器工場爆破の任務を受け、006ことアレックと共に侵入する。しかしアレックはソ連側のウルモフ大佐の銃弾に倒れ、工場破壊という任務は成功するものの、ボンドはやむなく飛行機で脱出する。
 それから9年。ソ連は既に崩壊し、ロシアでは「ヤヌス」という犯罪組織が暗躍していた。ボンドはヤヌスの一員であるゼニアをマークしていたが、彼女は対電磁波装甲を施したNATOの最新鋭戦闘ヘリ・タイガーを奪って逃走する……。

 007ゴールデンアイ

 実は本作をちゃんと観るのはこれが初めてだったりするのだが、まずまず楽しめる作品ではあった。
 上で書いたように製作者たちの意気込みはけっこう感じられ、特にアクションシーンではそれが顕著だったように思う。オープニングのロープでの下降シーン、街中での戦車を使ったカーアクション、お馴染みの飛行機でのアクションなど、見どころは少なくない。
 また、ピアーズ・ブロイスナンのボンドも若々しく、個人的にはもっと無骨なボンドの方がイメージなのだが、まあ、制作サイドが長年オファーを送っていただけのことはあって、実に正統派二枚目のスマートなボンドである。

 もう少し気を配ってほしかったのはストーリー。今さら007シリーズにそれを求めるか?という声も聞こえてきそうだが、本作ではボンドの盟友006が敵に寝返るという設定であり(ネタバレごめん)、その友情や愛国心、裏切りなど、いくらでも描き方はあると思うのだが、これがまあもったいないことに、ちょっと観客を驚かせたいぐらいの扱いに終始しており、薄っぺらいことこの上ない。
 シリーズにいつも言えることだが、こういうアプローチが大作ながらも大傑作とならない原因のような気がする。実はミッション・インポッシブルにも影響を与えた作品らしいのだが、いろいろな点で抜かれているよなぁ。
 本当の意味での路線変更は、やはりダニエル・クレイグ・ボンドの登場まで待たなければならなかったのか。




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