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押川春浪『險奇探偵小説 ホシナ大探偵 押川春浪ホームズ翻案コレクション』(盛林堂ミステリアス文庫)
昨日はつい飲み過ぎて本日は久々に二日酔い。それでも早めに起きて仕事に出るという嫁さんを車で駅まで送り、午前中は洗濯やら愛犬の散歩などなど。
午後からは西荻窪へ出かけ、盛林堂さんで予約しておいた三橋一夫の『コショウちゃんとの冒険』と『魔の淵』を購入。『コショウちゃんとの冒険』は盛林堂さんが私家版で発行しているものではあるが、それにしても三橋一夫の新刊が同時に二冊出るとは。いや、すごいこともあるもんだ。『コショウちゃんとの冒険』は500ページ越えの大ボリューム、一方の『魔の淵』はミステリ珍本全集の一冊で安心の日下印だし、どちらも読むのが実に楽しみ。
ちなみに盛林堂さんで二冊いっしょに買った人には森英俊氏による小冊子「三橋一夫ジュニア小説読本」がついてくる。販促活動としては正しい姿だし、嬉しいおまけではあるのだが、このボリュームなら『コショウちゃんとの冒険』に組み込んでくれてもよかったかな。気がつかずに『魔の淵』だけ別で買ってしまった人はどうしてもいるだろうしなぁ。
本日の読了本はまたまた先日の『近代日本奇想小説史 入門篇』つながりで、大御所、押川春浪の『險奇探偵小説 ホシナ大探偵 押川春浪ホームズ翻案コレクション』。
ちなみに本書も今日お邪魔したばかりの盛林堂さんの発行。いや、ほんと頑張ってますな。

さて押川春浪は日本SF小説の祖と称せられるが、その作品が武侠小説と呼ばれることもあるとおり、ストーリー展開や主人公の性格設定などはむしろ冒険小説のイメージが強い。その押川春浪があらびっくりホームズものの翻案小説を書いていましたというのが本書である。
収録作は以下の二篇。
「險奇探偵小説 ホシナ大探偵」
「武侠探偵小説 大那翁(ナポレオン)の金冠」
ベースになった作品は解説で触れられているが、「~ホシナ大探偵」の方は登場人物の設定やストーリーに至るまで、けっこう原作寄りで書かれている。
保科(ホームズ)が渡邊(ワトスン)の長靴からその日の行動を推理するなどいかにものシーンがあったり、翻案とはいえ押川春浪にこういう作品があったのかとそれだけでも楽しい。何より普通に面白く読めるというのがあっぱれ。まあ、それはコナン・ドイルの力も大きいんだけど(苦笑)。
片や「~大那翁の金冠」は二作分をミックスさせた上、登場人物の設定もかなり変更されていて、エピソードだけを借用したという感じだろうか。なんせ探偵役とワトスン役がフランスに渡ってパリ警視庁に探偵として雇われた日本人という設定なので、読んでいてもホームズ色はほとんど感じられない。
その分、逆に「~ホシナ大探偵」よりは著者らしさが存分に出ていて、最後にはSFになってしまうのが大らかというか何というか(笑)。
ま、予想以上に楽しめて満足の一冊でありました。
午後からは西荻窪へ出かけ、盛林堂さんで予約しておいた三橋一夫の『コショウちゃんとの冒険』と『魔の淵』を購入。『コショウちゃんとの冒険』は盛林堂さんが私家版で発行しているものではあるが、それにしても三橋一夫の新刊が同時に二冊出るとは。いや、すごいこともあるもんだ。『コショウちゃんとの冒険』は500ページ越えの大ボリューム、一方の『魔の淵』はミステリ珍本全集の一冊で安心の日下印だし、どちらも読むのが実に楽しみ。
ちなみに盛林堂さんで二冊いっしょに買った人には森英俊氏による小冊子「三橋一夫ジュニア小説読本」がついてくる。販促活動としては正しい姿だし、嬉しいおまけではあるのだが、このボリュームなら『コショウちゃんとの冒険』に組み込んでくれてもよかったかな。気がつかずに『魔の淵』だけ別で買ってしまった人はどうしてもいるだろうしなぁ。
本日の読了本はまたまた先日の『近代日本奇想小説史 入門篇』つながりで、大御所、押川春浪の『險奇探偵小説 ホシナ大探偵 押川春浪ホームズ翻案コレクション』。
ちなみに本書も今日お邪魔したばかりの盛林堂さんの発行。いや、ほんと頑張ってますな。

さて押川春浪は日本SF小説の祖と称せられるが、その作品が武侠小説と呼ばれることもあるとおり、ストーリー展開や主人公の性格設定などはむしろ冒険小説のイメージが強い。その押川春浪があらびっくりホームズものの翻案小説を書いていましたというのが本書である。
収録作は以下の二篇。
「險奇探偵小説 ホシナ大探偵」
「武侠探偵小説 大那翁(ナポレオン)の金冠」
ベースになった作品は解説で触れられているが、「~ホシナ大探偵」の方は登場人物の設定やストーリーに至るまで、けっこう原作寄りで書かれている。
保科(ホームズ)が渡邊(ワトスン)の長靴からその日の行動を推理するなどいかにものシーンがあったり、翻案とはいえ押川春浪にこういう作品があったのかとそれだけでも楽しい。何より普通に面白く読めるというのがあっぱれ。まあ、それはコナン・ドイルの力も大きいんだけど(苦笑)。
片や「~大那翁の金冠」は二作分をミックスさせた上、登場人物の設定もかなり変更されていて、エピソードだけを借用したという感じだろうか。なんせ探偵役とワトスン役がフランスに渡ってパリ警視庁に探偵として雇われた日本人という設定なので、読んでいてもホームズ色はほとんど感じられない。
その分、逆に「~ホシナ大探偵」よりは著者らしさが存分に出ていて、最後にはSFになってしまうのが大らかというか何というか(笑)。
ま、予想以上に楽しめて満足の一冊でありました。
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