- Date: Tue 29 12 2015
- Category: 評論・エッセイ 新保博久
- Community: テーマ "評論集" ジャンル "本・雑誌"
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新保博久『ミステリ編集道』(本の雑誌社)
日本のミステリ史に大きな影響を与えた雑誌や叢書がある。もちろんその功績の大元は作家にあるだろうが、実はそれ以上に重要な役割を担っていたのが編集者たちだ。本日の読了本『ミステリ編集道』は、そんなミステリの歴史を作ってきた名編集者たちへのインタビュー集である。取り上げられているのは以下の十三人。
原田裕……東都書房
大坪直行……宝石社
中田雅久……久保書店
八木昇……桃源社
島崎博……幻影城
白川充……大衆文学館
佐藤誠一郎……新潮ミステリー倶楽部
北村一男……EQ、ジャーロ
山田裕樹……集英社
宍戸健司……角川書店
戸川安宣……東京創元社
染田屋茂……早川書房
藤原義也……国書刊行会

通して読めばそのまま日本ミステリ史にもなろうかというぐらい豪華な布陣。これは実に刺激的で面白いインタビュー集であった。こういう懐古的インタビューだと、当然ながら宝石や幻影城あたりの古いところに興味が集中するのだが、そちらはなんだかんだで様々な情報があふれている(もちろん本当に濃い話は別として)。
むしろそのちょっとあと、東都書房や桃源社、大衆文学館といったところに情報が少なく、その背景や裏話などがこういうまとまった形で当時の編集者の口から直接聞けるのはありがたい。いやほんと楽しいの一言に尽きる。
また、ミステリに関する情報だけでなく、その時代その会社にあっての編集についての考え方、やり方が聞けるのは職業柄、興味深いところ。まあ、正直けっこうむちゃくちゃな話も多いので参考にはならないところも多いが(笑)。その精神は見習いたい。
なお、インタビュアーを務める新保博久氏はもちろんミステリ評論家として知られる方だが、変に出過ぎることなく、あくまで編集者をメインに押し出しているところが好印象。各インタビューごとに関連資料を付けているのも親切設計である。
人生にミステリをちょっと深く関わらせたいなぁ、などと考えている人は必読。良書です。
原田裕……東都書房
大坪直行……宝石社
中田雅久……久保書店
八木昇……桃源社
島崎博……幻影城
白川充……大衆文学館
佐藤誠一郎……新潮ミステリー倶楽部
北村一男……EQ、ジャーロ
山田裕樹……集英社
宍戸健司……角川書店
戸川安宣……東京創元社
染田屋茂……早川書房
藤原義也……国書刊行会

通して読めばそのまま日本ミステリ史にもなろうかというぐらい豪華な布陣。これは実に刺激的で面白いインタビュー集であった。こういう懐古的インタビューだと、当然ながら宝石や幻影城あたりの古いところに興味が集中するのだが、そちらはなんだかんだで様々な情報があふれている(もちろん本当に濃い話は別として)。
むしろそのちょっとあと、東都書房や桃源社、大衆文学館といったところに情報が少なく、その背景や裏話などがこういうまとまった形で当時の編集者の口から直接聞けるのはありがたい。いやほんと楽しいの一言に尽きる。
また、ミステリに関する情報だけでなく、その時代その会社にあっての編集についての考え方、やり方が聞けるのは職業柄、興味深いところ。まあ、正直けっこうむちゃくちゃな話も多いので参考にはならないところも多いが(笑)。その精神は見習いたい。
なお、インタビュアーを務める新保博久氏はもちろんミステリ評論家として知られる方だが、変に出過ぎることなく、あくまで編集者をメインに押し出しているところが好印象。各インタビューごとに関連資料を付けているのも親切設計である。
人生にミステリをちょっと深く関わらせたいなぁ、などと考えている人は必読。良書です。
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有名な雑誌や叢書はいろいろな記事や評論などで目にする機会もありますが、本書では今まで取り上げられることのほとんどなかった媒体も扱っているのがいいですね。
>コバルト社の「探偵くらぶ」とか〜
ああ、確かにこれは気になります。まあ、ここまでマニアックでなくてもいいので(笑)、第二弾とかも出してくれるといいですよね。