- Date: Sun 07 02 2016
- Category: 映画・DVD 原作:横溝正史
- Community: テーマ "サスペンス・ミステリー" ジャンル "映画"
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市川崑『病院坂の首縊りの家』
市川崑、石坂浩二コンビによる金田一シリーズ最終作『病院坂の首縊りの家』を視聴。
渡米を考えていた金田一耕助は、その報告のため先生(横溝正史)のいる吉野市を訪れていた。ついでにパスポートの写真を撮るために立ち寄った写真館で、店の主人・本條徳兵衛から奇妙な依頼をされる。何者かに殺されそうになったので、その調査をしてほしいというのだ。
同じ日、写真館に一人の女性が訪れる。結婚写真を撮りたいので、迎えの者をやるから一緒にきてほしいという。その夜、若主人の本條直吉が迎えの男とともに向かった先は、地元で病院坂と呼ばれるところにある今は空き家の家であった。新郎新婦らしき男女の様子がおかしいものの、とりあえず仕事をこなす直吉。だが、後日、写真を届けにいった直吉は、新郎だった男の生首が風鈴のようにぶらさがっているのを発見する……。

正直、原作の内容をほとんど覚えていないのだけれど(苦笑)、それが逆によかったのか、けっこう楽しめた。
シリーズの他の作品よりは評価が落ちるようだけれども、おそらくこれは作品をイメージづける印象的なシーンが弱いことが大きいのではないか。また、原作がもともと長大で複雑なのだが、それを映像化するにあたってどうしても脚本に無理が出てきてしまったこともあるだろう(といっても140分近くあるのだが)。
とはいえ、それらはシリーズの他の作品に比べるからで、この作品を独立したミステリ映画とみるなら、決してまずい作品ではない。例によってテーマとなるのは古い因習や家、血にしばられた悲しき宿命である。とりわけ本作はわかりにくい設定ではあるのだが、ここまで再現してくれれば何とか合格点だろう。特に謎解きシーンではかなりの時間を費やし、事件の全容を示すとともに、ドラマとしての盛り上げ方も悪くない。
キャストでは佐久間良子や桜田淳子、草刈正雄の熱演も印象的、桜田淳子の演技も予想以上によかったが、やはり佐久間良子の存在感は圧倒的。こういうウェットな役柄は実に見事である。
なお、原作は金田一耕助の最後の事件として知られているが、映画のほうもこれで打ち止め感を強く出していて、所縁の俳優さんが多く登場しているのが感慨深い。小林昭二や三木のり平、大滝秀治、草笛光子、あおい輝彦、ピーター、中井貴惠等々。おまけに横溝正史までがけっこうな役どころである。
ま、そんなわけで個人的には全然OKの一作でありました。
渡米を考えていた金田一耕助は、その報告のため先生(横溝正史)のいる吉野市を訪れていた。ついでにパスポートの写真を撮るために立ち寄った写真館で、店の主人・本條徳兵衛から奇妙な依頼をされる。何者かに殺されそうになったので、その調査をしてほしいというのだ。
同じ日、写真館に一人の女性が訪れる。結婚写真を撮りたいので、迎えの者をやるから一緒にきてほしいという。その夜、若主人の本條直吉が迎えの男とともに向かった先は、地元で病院坂と呼ばれるところにある今は空き家の家であった。新郎新婦らしき男女の様子がおかしいものの、とりあえず仕事をこなす直吉。だが、後日、写真を届けにいった直吉は、新郎だった男の生首が風鈴のようにぶらさがっているのを発見する……。

正直、原作の内容をほとんど覚えていないのだけれど(苦笑)、それが逆によかったのか、けっこう楽しめた。
シリーズの他の作品よりは評価が落ちるようだけれども、おそらくこれは作品をイメージづける印象的なシーンが弱いことが大きいのではないか。また、原作がもともと長大で複雑なのだが、それを映像化するにあたってどうしても脚本に無理が出てきてしまったこともあるだろう(といっても140分近くあるのだが)。
とはいえ、それらはシリーズの他の作品に比べるからで、この作品を独立したミステリ映画とみるなら、決してまずい作品ではない。例によってテーマとなるのは古い因習や家、血にしばられた悲しき宿命である。とりわけ本作はわかりにくい設定ではあるのだが、ここまで再現してくれれば何とか合格点だろう。特に謎解きシーンではかなりの時間を費やし、事件の全容を示すとともに、ドラマとしての盛り上げ方も悪くない。
キャストでは佐久間良子や桜田淳子、草刈正雄の熱演も印象的、桜田淳子の演技も予想以上によかったが、やはり佐久間良子の存在感は圧倒的。こういうウェットな役柄は実に見事である。
なお、原作は金田一耕助の最後の事件として知られているが、映画のほうもこれで打ち止め感を強く出していて、所縁の俳優さんが多く登場しているのが感慨深い。小林昭二や三木のり平、大滝秀治、草笛光子、あおい輝彦、ピーター、中井貴惠等々。おまけに横溝正史までがけっこうな役どころである。
ま、そんなわけで個人的には全然OKの一作でありました。
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まあ、確かにテレビで二夜連続放映とか、映画でも半年あけて二部作とか、あるいはテレビと映画で二部作とか最近多いですね。ただ自分の場合は、分断されると興味が続かないというか。小説でも全何巻とかいうのは飽きてきますね(苦笑)。
>稲垣金田一などまさにこのパターンでやってほしかったのですけど、
稲垣金田一は実は見たことないのですが、けっこう原作に忠実で評判がいいんですね。DVDやBDとかが出れば観てみたいものです。