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小説をいくつか読み残しているので、精読したというにはほど遠いのだが、ようやく『幻影城 終刊号』にひと通り目を通すことができた。

 こんなブログに来ていただく方には釈迦に説法なのだが、念のために書いておくと、『幻影城』とは1975〜1979年にかけて刊行された探偵小説誌である。ただし、普通のミステリ雑誌ではなく、主に戦前の探偵小説にスポットを当てた、非常にマニアックな雑誌だった。また、途中からは新人の発掘にも力を入れ、泡坂妻夫、栗本薫、連城三紀彦らを輩出したことでも知られている。
 その内容の濃さ、さらには会社の倒産により突如休刊したこともあってか、あっという間に伝説的な雑誌となり、その後もマニア人気が持続。とうとう2006年には関係者・有志などが企画して、同人誌『幻影城の時代』を作ったことは記憶に新しい(後に講談社から『幻影城の時代 完全版』として刊行)。
 詳しいことは知らないが、その『幻影城の時代』がつくられた際に新たな事実や編集長の島崎博氏の近況も明らかになったようで、創刊40周年というタイミング、さらには幻影城ゆかりの作家が次々と鬼籍に入られたことも関係したか、ぜひこの機会にと企画されたのが本書『幻影城 終刊号』ということらしい。

 幻影城終刊号

 さて、その内容であるが、基本的には終刊号というよりファンブックというスタンスだろう。そのデザインやレイアウトは『幻影城』を彷彿とさせるし、島崎博氏や現役の作家、関係者らの全面協力もあるので、並の同人誌のレベルは遙かに超えているのだが、"終刊号"というお題とはちょっと違うかなとも感じた。
 もちろん個々の内容には文句のつけようもない。 ページを開けば、泡坂妻夫、田中文雄、栗本薫、連城三紀彦、二上洋一、竹本健治、友成純一、村岡圭三らゆかりの作家名がずらりと並び、その作品も草稿や単行本未収録から書き下ろしに至るまでの充実振りである。
 ただ、本書の真価はむしろそういった作品よりも、各種エッセイ、評論、対談の類だろう。各人さまざまな立場からの回想や思いを重ねることによって、当時の『幻影城』の様子が明らかになったり、空気感といったものがひしひしと感じられる。これだけでも貴重な一冊であろう。

 ちなみに420ページ超という分厚さで1500円という価格も賞賛に値する。さすがに赤字にはしたくないだろうから刷り部数が相当いったのだろうとは思うのだが同人誌でこれは驚異的だわ。発行人・野地氏の努力には脱帽である。

テーマ:評論集 - ジャンル:本・雑誌





M・ケイゾーさん

ははぁ、10歳ぐらい定説と違ってくるのですね。しかも宝石の予選通過者に名前が載っているとなると、同一人物の可能性は高いですね。
【2016/04/02 01:34】 URL | sugata #8Y4d93Uo[ 編集]

 村岡圭三氏が89歳ということは昭和11年生まれではないということに。宝石に応募している可能性がでてきました。予選通過者に同名の人がいました。
【2016/04/01 20:11】 URL | M・ケイゾー #-[ 編集]

satoshiさん

>物故された関係者の多さは、それだけ時の流れを感じさせます。

意外に若くして亡くなっている方が多いのが残念です。

>幻影城関連のものがまだ刊行される予定のようなので楽しみです。

最後に載っていた近刊案内ですね。まだ、いろいろな企画があるようでこれは楽しみですよね。
【2016/03/30 22:05】 URL | sugata #8Y4d93Uo[ 編集]

リアルタイム世代としては、「終刊号」も「幻影城の時代」も、刊行されたことを褒めてあげたいですね。物故された関係者の多さは、それだけ時の流れを感じさせます。幻影城関連のものがまだ刊行される予定のようなので楽しみです。
【2016/03/30 13:12】 URL | satoshi #-[ 編集]















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