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 久しぶりに自由が丘で買い物など。若者の集まる街としては最近パワーが落ちている気もするが、それでも相変わらず休日ともなれば人手で賑わう。文生堂という古書店のおかげでミステリマニアにも有名ですな。大したものは買えなかったが、まあ、のぞけただけでも満足。


 読了本はマイクル・クライトンの『恐怖の存在』下巻。地球温暖化をテーマに、環境テロリストと主人公チームの対決を描いたクライトンお得意の一大エンターテインメント。地球温暖化に対する蘊蓄の数々、地球全土を舞台にするという壮大なスケール、人為的に起こされた自然災害との戦いをはじめとした、いつにもまして激しいアクション。相変わらずのサービス精神であることは確かだが、正直、本作はいろいろな意味で気になる点も多かった。
 まず、ひとつは、本国でもいろいろと話題になっていたようなのだが、地球温暖化に対する主人公たちの考え方だ。要は地球温暖化など実は起こっていないのだという主張であり、もちろんこれはクライトン自身の考え方でもある。まあ、真っ向から否定しているというよりは、何も科学的に実証されていないのだから、安易に情報を鵜呑みにすべきではない、というニュアンスか。クライトンは環境ビジネスや環境テロリスト、政府に至るまでが、温暖化問題を都合のいいように利用していると説き、情報操作が簡単に起こりうる社会に警鐘を与えているわけである。だが、常識とも思える地球の温暖化について、ここまで否定的な見方をするのはどうなんだろう。それが悪いというわけではなく、クライトン自ら書くように本当のところがまだ立証されていないのだとすれば、クライトン自身の主張も勇み足に思えてならないのである。まあ、だからこそ小説のネタとして面白いわけだが。
 もうひとつ気になることとしては、作中でのクライトンの主張が激しすぎることか。文中では繰り返し、それこそ執拗に温暖化についての否定意見が語られる。それは登場人物のセリフというより、まるで論文をそのまま読んでいるようでもあり、明らかにストーリーの味つけの域を超えている。これもエンターテインメントとしては勇み足になるのではないだろうか。
 最後にもうひとつ。本来は見せ場であるはずの災害シーンがあまりにも多様でスケールがでかすぎるため、逆にもうひとつ面白さが伝わってこない。『ジュラシック・パーク』や『タイムライン』のように確固としたイメージがあればよいのだが、嵐や南極、ジャングルなど盛り沢山の冒険にしたために、かえって印象がぼやけてしまった。
 「恐怖の存在」の対象は、とりあえず1つに絞った方が効果的だと思うのだが。


テーマ:推理小説・ミステリー - ジャンル:本・雑誌




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