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鮎川哲也『二つの標的』(出版芸術社)
鮎川哲也の『二つの標的』を読む。出版芸術社から出た鮎川哲也コレクション挑戦編の第三巻。読者への挑戦を付した本格短編集である。収録作は以下のとおり。
「ドン・ホォンの死」
「ポルノ作家殺人事件」
「砂の時計」
「葬送行進曲」
「詩人の死」
「死人を起す」
「二つの標的」
「七人の乗客」
「終着駅」
「占魚荘の惨劇」
「密室の妖光」
個人的にはゲームゲームした本格探偵小説は正直好きではないが、それは時としてあまりにリアリティをないがしろにするからである。風俗や人間心理に対してあまりに無知故、ありそうにない設定、ありそうにないセリフが横行する。別に極端な状況があってもかまわないが、その作品世界の中でのリアリティは欲しいわけだ。でもよく考えるとこれはゲームゲームした本格が嫌いというより、小説として未熟なものが嫌い、というほうが正しいのだろうな。もちろんそのあたりが消化できている本格は全然OK、というかむしろ望むところである。
で、『二つの標的』だが、ここまで遊びとして徹底してしまえば、これはケチのつけようがない。嫌なら読まなければいいだけの話で、それを楽しめる者だけの一冊といえるだろう。全般的にインパクトはもうひとつの感があるが定石はしっかりと押さえており、なかでも「二つの標的」や「砂の時計」「密室の妖光」は悪くない。謎解き小説とはこういうものか、という手引きとしては十分な役割を果たしているといえるだろう。
「ドン・ホォンの死」
「ポルノ作家殺人事件」
「砂の時計」
「葬送行進曲」
「詩人の死」
「死人を起す」
「二つの標的」
「七人の乗客」
「終着駅」
「占魚荘の惨劇」
「密室の妖光」
個人的にはゲームゲームした本格探偵小説は正直好きではないが、それは時としてあまりにリアリティをないがしろにするからである。風俗や人間心理に対してあまりに無知故、ありそうにない設定、ありそうにないセリフが横行する。別に極端な状況があってもかまわないが、その作品世界の中でのリアリティは欲しいわけだ。でもよく考えるとこれはゲームゲームした本格が嫌いというより、小説として未熟なものが嫌い、というほうが正しいのだろうな。もちろんそのあたりが消化できている本格は全然OK、というかむしろ望むところである。
で、『二つの標的』だが、ここまで遊びとして徹底してしまえば、これはケチのつけようがない。嫌なら読まなければいいだけの話で、それを楽しめる者だけの一冊といえるだろう。全般的にインパクトはもうひとつの感があるが定石はしっかりと押さえており、なかでも「二つの標的」や「砂の時計」「密室の妖光」は悪くない。謎解き小説とはこういうものか、という手引きとしては十分な役割を果たしているといえるだろう。
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