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丘美丈二郎『丘美丈二郎探偵小説選II』(論創ミステリ叢書)
『丘美丈二郎探偵小説選II』を読了。まずは収録作。
「恐怖の石塊」
「パチンコと沈丁花」
「汽車を招く少女」
「空間の断口」
「耳飾りの女」
「空坊主事件」
「竜神吼えの怪」
「ワルドシュタインの呪」
「種馬という男」
「トッカピー」
「波」
「電波公聴器」
「宇宙の警鐘」
「怪物「ユー・エム」」
「ミステリアンまた来襲す!!」
「科学党」
「幽霊」
「ポシブル・ケース」
「空とぶローラー」

ザクッとしたところは先日の『丘美丈二郎探偵小説選I』の感想でも書いたとおり。SFや怪奇をベースにしつつ、その真相を徹底して合理的・科学的に解明するというスタイルは、本書を読んだ後でもそれほど印象は変わらない。
ちょっと興味深いのは、本書の解説で紹介している、かつて栗本薫が発表した丘美丈二郎論。そこでは丘美丈二郎が明確な目的、すなわち科学精神の啓蒙のみを目的として小説を書いたとしており、そのため彼の作品は、ミステリ系よりもSF系にこそ、より面白さが発揮されている述べている。
ところが管理人としては、実はまったく逆の感想をもってしまった。
丘美の目的はともかくとして、その作品はSF系よりミステリ系のほうが断然楽しめたのである。SFのほうはそれこそ作者のメッセージ性や科学的説明が前面に出すぎてしまい、なんだか論文でも読んでいるような味気なさが先に立つ。
その点、ミステリ系の作品では、不可思議な現象を合理的に解明するという、絵に描いたような本格ミステリのスタイルを体現している。鮮やかに決まった場合、という条件付きではあるけれど、丘美の良さはむしろこちらのほうにこそ発揮されているように思う。その代表作が『〜I』に収録されていた「佐門谷」といえる。
本書で印象に残ったものをいくつか挙げておこう。当然ながら、怪奇を前面に出しつつラストでその不思議を解き明かすミステリ系が多くなった。
まずは「恐怖の石塊」。メインのネタがもう普通に数学で、これをSFミステリ的としてまとめる無茶に逆に感心してしまった(苦笑)。
「汽車を招く少女」は「佐門谷」と味わいを同じくする怪談風の物語。真相も意外でほろ苦く、こういうタイプの作品をもっと書いてくれればよかったのだが、これが残念ながら少ないんだよね。
「空坊主事件」と「種馬という男」は、著者のパイロット経験が生きている作品で、どちらも若干、納得しかねるトリックではあるのだが、こういうタイプも著者ならではの味があって楽しく読めた。
「恐怖の石塊」
「パチンコと沈丁花」
「汽車を招く少女」
「空間の断口」
「耳飾りの女」
「空坊主事件」
「竜神吼えの怪」
「ワルドシュタインの呪」
「種馬という男」
「トッカピー」
「波」
「電波公聴器」
「宇宙の警鐘」
「怪物「ユー・エム」」
「ミステリアンまた来襲す!!」
「科学党」
「幽霊」
「ポシブル・ケース」
「空とぶローラー」

ザクッとしたところは先日の『丘美丈二郎探偵小説選I』の感想でも書いたとおり。SFや怪奇をベースにしつつ、その真相を徹底して合理的・科学的に解明するというスタイルは、本書を読んだ後でもそれほど印象は変わらない。
ちょっと興味深いのは、本書の解説で紹介している、かつて栗本薫が発表した丘美丈二郎論。そこでは丘美丈二郎が明確な目的、すなわち科学精神の啓蒙のみを目的として小説を書いたとしており、そのため彼の作品は、ミステリ系よりもSF系にこそ、より面白さが発揮されている述べている。
ところが管理人としては、実はまったく逆の感想をもってしまった。
丘美の目的はともかくとして、その作品はSF系よりミステリ系のほうが断然楽しめたのである。SFのほうはそれこそ作者のメッセージ性や科学的説明が前面に出すぎてしまい、なんだか論文でも読んでいるような味気なさが先に立つ。
その点、ミステリ系の作品では、不可思議な現象を合理的に解明するという、絵に描いたような本格ミステリのスタイルを体現している。鮮やかに決まった場合、という条件付きではあるけれど、丘美の良さはむしろこちらのほうにこそ発揮されているように思う。その代表作が『〜I』に収録されていた「佐門谷」といえる。
本書で印象に残ったものをいくつか挙げておこう。当然ながら、怪奇を前面に出しつつラストでその不思議を解き明かすミステリ系が多くなった。
まずは「恐怖の石塊」。メインのネタがもう普通に数学で、これをSFミステリ的としてまとめる無茶に逆に感心してしまった(苦笑)。
「汽車を招く少女」は「佐門谷」と味わいを同じくする怪談風の物語。真相も意外でほろ苦く、こういうタイプの作品をもっと書いてくれればよかったのだが、これが残念ながら少ないんだよね。
「空坊主事件」と「種馬という男」は、著者のパイロット経験が生きている作品で、どちらも若干、納得しかねるトリックではあるのだが、こういうタイプも著者ならではの味があって楽しく読めた。
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