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 年の瀬はもともと忙しいけれど、仕事もプライベートもイレギュラーな出来事が立て続けに起こって実にしんどい。。本日、参加を予定していたブログ「奇妙な世界の片隅で」のkazuouさん主催「怪奇幻想読書倶楽部 第11回読書会」も残念ながらキャンセルする。今年最後だったのでぜひにと思っていたのだが、なんとも残念。

 そんなこんなで読書も捗らず、ようやくバート・スパイサーの『ダークライト』を読み終える。
 論創海外ミステリの一冊だが、著者についてはまったく知識がなく、解説によると主に1950年代に活躍したハードボイルド作家で、本書は1949年に刊行されたデビュー長編に当たるとのこと。

 こんな話。私立探偵カーニー・ワイルドのもとに、ある新興宗教団体のもとで執事を務める黒人男性が現れた。伝道師のキンブル師が伝道本部に現れなかったため、その行方を確かめてほしいのだという。カーニーはキンブル師が最後に姿を見せたニューヨークへ向かうが、そこで不審な状況が浮かび上がり、ついには殺人事件へと発展する……。

 ダークライト

 失踪人の捜索という導入部からも予想できるように、ハードボイルドとしてはなかなかオーソドックスなタイプである。ハメットが産み、チャンドラーが育てたハードボイルドだが、本作が発表された1949年はハードボイルドというスタイルがいよいよ多様化・爛熟していく時代。本作はそんな時代にあって、逆に気を衒わず、しっかりと事件を物語の中心に据えて堅実にまとめあげた印象である。

 キャラクターも同様で、絵に描いたような私立探偵。軽口をたたき、腕っ節にも自信があり、大事なところでは一歩も引かない。
 ちょっと面白いのは主人公の探偵カーニーが意外なほど警察ともうまくやっていくところか。ただ、年齢が二十代後半という設定なので、この要領の良さがいまひとつピンとこない。言動などからなんとなく四十代ぐらいを連想していたので、この辺はもう少し訳者がセリフなどに気を配るべきだったかもしれない。

 とはいえ、それぐらいは大した疵ではなく、むしろ気になったのはオリジナリティの不足というか著者ならではのウリに欠けるところか。デビュー作でこれだけ安定した作品を書きながら日本でこれまで紹介されなかったのも、その辺りに原因がありそうだ。なんせ同時期に登場した作家にはミッキー・スピレインとかもいるし、インパクトではどうしても分が悪すぎるものなぁ。


テーマ:推理小説・ミステリー - ジャンル:本・雑誌




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