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蘭郁二郎『蘭郁二郎探偵小説選II』(論創ミステリ叢書)
新年明けましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いいたします。
年末年始はいつものごとく寝正月。元日は遅めに起きてお雑煮の下拵えをしてから初詣。この数年は仕事がめまぐるしいのと、年のせいか体調がいまひとつなのもあって、今年はなんとか平穏な一年を送らせてくだされと諸々お願いする。
さて、今年最初の一冊は論創ミステリ叢書から『蘭郁二郎探偵小説選II』。
前期の変格探偵小説から後期はSFに移行した蘭郁二郎だが、その後期にも探偵小説はけっこう書いていたそうで、それをまとめたものが論創ミステリ叢書版『蘭郁二郎探偵小説選』。昨年に読んだ『~I』ではシリーズものが収録されていたが、本書はノンシリーズものというラインナップだ。

「息を止める男」
「足の裏」
「蝱(あぶ)の囁き――肺病の唄―― 」
「鱗粉」
「雷」
「腐った蜉蝣(かげろう)」
「ニュース劇場の女」
「黄色いスヰトピー」
「寝言レコード」
「死後の眼(まなこ)」
「黒い東京地図」
「設計室の殺人」
「匂ひの事件」
「睡魔」
「楕円の応接間」
「電子の中の男」
「古井戸」
「刑事の手」
収録作は以上。前期の変態ちっくな探偵小説ではなく、後期作品らしくSF的なアイディアが盛り込まれたスマートな本格ものという印象。まあ、トリックなどは推して知るべしといったところだが、本格の香りは意外に濃く、それなりに楽しめる。
個人的な好みは乱歩の影響も感じられる「息を止める男」、「足の裏」、「蝱(あぶ)の囁き――肺病の唄―― 」あたり。ただ、実はこれらは前期変格系の作品で、ちくま文庫の『怪奇探偵小説名作選〈7〉蘭郁二郎集 魔像』にも採られている。意図はよくわからないが、このあたりの作品もあえて収録しているところに編集方針のぶれがうかがえ、少々気になってしまった。
本年もよろしくお願いいたします。
年末年始はいつものごとく寝正月。元日は遅めに起きてお雑煮の下拵えをしてから初詣。この数年は仕事がめまぐるしいのと、年のせいか体調がいまひとつなのもあって、今年はなんとか平穏な一年を送らせてくだされと諸々お願いする。
さて、今年最初の一冊は論創ミステリ叢書から『蘭郁二郎探偵小説選II』。
前期の変格探偵小説から後期はSFに移行した蘭郁二郎だが、その後期にも探偵小説はけっこう書いていたそうで、それをまとめたものが論創ミステリ叢書版『蘭郁二郎探偵小説選』。昨年に読んだ『~I』ではシリーズものが収録されていたが、本書はノンシリーズものというラインナップだ。

「息を止める男」
「足の裏」
「蝱(あぶ)の囁き――肺病の唄―― 」
「鱗粉」
「雷」
「腐った蜉蝣(かげろう)」
「ニュース劇場の女」
「黄色いスヰトピー」
「寝言レコード」
「死後の眼(まなこ)」
「黒い東京地図」
「設計室の殺人」
「匂ひの事件」
「睡魔」
「楕円の応接間」
「電子の中の男」
「古井戸」
「刑事の手」
収録作は以上。前期の変態ちっくな探偵小説ではなく、後期作品らしくSF的なアイディアが盛り込まれたスマートな本格ものという印象。まあ、トリックなどは推して知るべしといったところだが、本格の香りは意外に濃く、それなりに楽しめる。
個人的な好みは乱歩の影響も感じられる「息を止める男」、「足の裏」、「蝱(あぶ)の囁き――肺病の唄―― 」あたり。ただ、実はこれらは前期変格系の作品で、ちくま文庫の『怪奇探偵小説名作選〈7〉蘭郁二郎集 魔像』にも採られている。意図はよくわからないが、このあたりの作品もあえて収録しているところに編集方針のぶれがうかがえ、少々気になってしまった。
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Comments
Edit
管理人様
>意図はよくわからないが、このあたりの作品もあえて収録しているところに編集方針のぶれがうかがえ、少々気になってしまった。
この辺の再収録も実に意味不明なところですが、
これ見てアゼンとしました。リンク先の新刊加納一朗探偵小説選の価格を見て下さい。
https://www.amazon.co.jp/dp/484601682X/ref=as_li_ss_tl?s=books&ie=UTF8&qid=1519901612&sr=1-2&linkCode=sl1&tag=hondana0c-22&linkId=dab303bf70f09cef40fe567424b8298e
ここ数巻でもページ数が増えてないのに値上げしていましたが、5400円?????
アホなミステリー・ネット民が「買い支える、買い支える」と言ってますけど、なんでここまで価格が小刻みに上がり続けて誰も怒らないのか?
私は理解できないです。論創海外ミステリのほうはどうなっているんですかね?
Posted at 14:33 on 03 02, 2018 by 上村
上村さん
確かに一見すると驚くべき価格ではありますね。「たかだかミステリ一冊に5400円かよ」と思いたくなる気持ちはわかります。
ただ、論創社のこの手の本の部数を考えてみてください。横溝正史とかならいざ知らず、ミステリマニアであっても知らないような作家の本なんて、千部とかの二千部の世界なんですよ。
一冊五千円であっても、売り上げは五百万から一千万、取次への卸値は六掛けだとしても三百万から六百万、そこから印刷製本費、編集費用なんかを引いたら、儲けなんてほとんどないんです。
これだけ続けているのでトータルで赤字ということはないとは思いますが、これは版元や関係者の努力が大きいと思いますよ。ましてや古書を探す手間、古書価を考えたら、やはり読めるだけで幸せだと私は思いますね。
まあ、今回は加納一朗ということで、それほど古書価が高騰している作家でもないですから、よけいムカッとされたのかなとは思いますが、いや、こういう売れ行きが見込みにくい作家だからこそ、よけい価格が高くなったのだろうと思います。
「出してくれるだけでありがたい」というフレーズは私もよく記事中で使いますが、これは冗談でも何でもなく、まぎれもない事実なんです。こういう言い方は論創社の方に失礼かもしれませんが、会社として金儲けをしたかったら、探偵小説なんて出している場合じゃないですからね。
ミステリ愛好家の一人として、その辺は理解してあげてもいいんじゃないでしょうか。
Posted at 00:25 on 03 03, 2018 by sugata