- Date: Sat 24 03 2018
- Category: 国内作家 江戸川乱歩
- Community: テーマ "推理小説・ミステリー" ジャンル "本・雑誌"
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江戸川乱歩『江戸川乱歩からの挑戦状I SF・ホラー編 吸血鬼の島』(まんだらけ)
生誕記念とか没後○年とか、その関連で著作権フリーになったりとかで、まあ乱歩関連本がこの数年でずいぶん出版された。著作はもちろんだがノンフィクションや評論関係も多い。
本日の読了本は、そんな数ある乱歩関連本のなかでも変わり種に入る一冊。昨年の五月に漫画専門の古書店「まんだらけ」から発売された『江戸川乱歩からの挑戦状1 SF・ホラー編 吸血鬼の島』である。
雑誌『少年』に昭和29年〜38年まで連載された乱歩の子供向け小説からのセレクションということだが、実際に乱歩が書いたものではなく、他の作家やライターによる代作。ただ、当時の挿絵や巻末についていた懸賞付きクイズもそのまま載せるなど、なかなか楽しい作りになっている。
収録作は以下のとおり。
第1部 SF・ホラー作品集
「吸血鬼の島」
「きえた宇宙少年」
「海底人ブンゴのなぞ」
「のろいのミイラ」
「魚人第一号!」
「死人(しびと)の馬車」
「生きていた幽霊」
「魔法探偵術」
「悪魔の命令」
「指」
「幽霊塔の謎?」
「ノロちゃんと吸血鬼ドラキュラ」
「心霊術の謎」
第2部 異色作品集
「荒野の強盗団」
「にせインディアン」
「黄金の大黒さま」
「天狗の足あと」

肝心の中身のほうもなかなか。といってもクオリティというよりは、そのトンデモ度からだが。
一応は明智小五郎や少年探偵団も登場する(一部、ノンシリーズもあり)子供向け探偵小説である。ただし、悪玉として登場するのが吸血鬼や宇宙人、ミイラに半魚人などなど。これが聖典の少年探偵団ものならほぼ100%、二十面相の変装した姿なのだが、このシリーズが凄いのはそれらのモンスターがすべて実際の存在だということ。さすがに全部が全部そういう作品ではなく、中にはトリックがあったり科学的に解明されるものもあるけれど、まあ全体的には相当ぶっとんだシリーズである。
まあ管理人も記憶にあるが、昭和五十年頃までの少年誌や少年漫画誌はこういう特集ばかりやっていて人気を集めていたので、おそらく『少年』はその先駆け的存在だったのだろう。
また、そういった設定ばかりでなく、ストーリーや描写もけっこう好き放題やっている。おそらく乱歩もほぼ監修などしていないと思われるが、たとえば表題作では、吸血鬼に囲まれた二十面相が泣きながら明智に助けを求めてくるとか、魚人が登場していながら最後まで一切の説明もつけていないとか、少年探偵団の一人を●●●に仕立て上げるとか、街中で放射能をまき散らすとか、もう好き放題である(笑)。
いまの時代にこれを真顔で書かれても困るけれど、少年誌や乱歩贋作の歴史を垣間見るという点では興味深いし、これだけむちゃをやっている割には意外に違和感がなく、それなりに楽しめるのが面白いところだ。

▲ちなみに本書はまんだらけのイベント「大まん祭」で先行発売され、管理人もわざわざ中野の会場まで出かけて入手した。というのもイベント会場やまんだらけ店舗・通販で買った人にだけ小冊子「《譚海》掲載「犯人あて大懸賞」セレクション」がついてきたからであり、しかも当日のトークイベント限定で「乱歩漫画コレクション」なるパンフレットも配布していたからである。
乱歩ファンはもとより漫画ファンが集うイベントだから、当日はさぞや大混雑かと予想し、けっこう気合いを入れて出かけたのだが、意外に空いていて拍子抜けしたのでありました。
本日の読了本は、そんな数ある乱歩関連本のなかでも変わり種に入る一冊。昨年の五月に漫画専門の古書店「まんだらけ」から発売された『江戸川乱歩からの挑戦状1 SF・ホラー編 吸血鬼の島』である。
雑誌『少年』に昭和29年〜38年まで連載された乱歩の子供向け小説からのセレクションということだが、実際に乱歩が書いたものではなく、他の作家やライターによる代作。ただ、当時の挿絵や巻末についていた懸賞付きクイズもそのまま載せるなど、なかなか楽しい作りになっている。
収録作は以下のとおり。
第1部 SF・ホラー作品集
「吸血鬼の島」
「きえた宇宙少年」
「海底人ブンゴのなぞ」
「のろいのミイラ」
「魚人第一号!」
「死人(しびと)の馬車」
「生きていた幽霊」
「魔法探偵術」
「悪魔の命令」
「指」
「幽霊塔の謎?」
「ノロちゃんと吸血鬼ドラキュラ」
「心霊術の謎」
第2部 異色作品集
「荒野の強盗団」
「にせインディアン」
「黄金の大黒さま」
「天狗の足あと」

肝心の中身のほうもなかなか。といってもクオリティというよりは、そのトンデモ度からだが。
一応は明智小五郎や少年探偵団も登場する(一部、ノンシリーズもあり)子供向け探偵小説である。ただし、悪玉として登場するのが吸血鬼や宇宙人、ミイラに半魚人などなど。これが聖典の少年探偵団ものならほぼ100%、二十面相の変装した姿なのだが、このシリーズが凄いのはそれらのモンスターがすべて実際の存在だということ。さすがに全部が全部そういう作品ではなく、中にはトリックがあったり科学的に解明されるものもあるけれど、まあ全体的には相当ぶっとんだシリーズである。
まあ管理人も記憶にあるが、昭和五十年頃までの少年誌や少年漫画誌はこういう特集ばかりやっていて人気を集めていたので、おそらく『少年』はその先駆け的存在だったのだろう。
また、そういった設定ばかりでなく、ストーリーや描写もけっこう好き放題やっている。おそらく乱歩もほぼ監修などしていないと思われるが、たとえば表題作では、吸血鬼に囲まれた二十面相が泣きながら明智に助けを求めてくるとか、魚人が登場していながら最後まで一切の説明もつけていないとか、少年探偵団の一人を●●●に仕立て上げるとか、街中で放射能をまき散らすとか、もう好き放題である(笑)。
いまの時代にこれを真顔で書かれても困るけれど、少年誌や乱歩贋作の歴史を垣間見るという点では興味深いし、これだけむちゃをやっている割には意外に違和感がなく、それなりに楽しめるのが面白いところだ。

▲ちなみに本書はまんだらけのイベント「大まん祭」で先行発売され、管理人もわざわざ中野の会場まで出かけて入手した。というのもイベント会場やまんだらけ店舗・通販で買った人にだけ小冊子「《譚海》掲載「犯人あて大懸賞」セレクション」がついてきたからであり、しかも当日のトークイベント限定で「乱歩漫画コレクション」なるパンフレットも配布していたからである。
乱歩ファンはもとより漫画ファンが集うイベントだから、当日はさぞや大混雑かと予想し、けっこう気合いを入れて出かけたのだが、意外に空いていて拍子抜けしたのでありました。
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