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 論創海外ミステリからレックス・スタウトのオリジナル中編集第二弾『ようこそ、死のパーティーへ』を読む。まずは収録作。

Cordially Invited to Meet Death「ようこそ、死のパーティーへ」
The Gun with Wings「翼の生えた銃」
The Dazzle Dan Murder Case「『ダズル・ダン』殺害事件」

 ようこそ、死のパーティーへ

 オリジナル中編集第一弾の『黒い蘭』を読んで、ネロ・ウルフ&アーチー・グッドウィンものには中篇や短めの長篇がしっくりくるなぁと思っていたのだが、本書を読んで更にその意を強くした。
そもそもこのシリーズは、他の本格ミステリに比べてユーモア成分が非常に濃い。ただ、ユーモアを優先するあまりストーリーが冗長になることもあって、長編では特にそれが感じられる。とはいえ短編ではあまりユーモアが活きてこない。まあ、この感覚はあくまで個人的なものなので、それほど根拠もないのだけれど(笑)、結果としてウルフものの魅力を最大に味わえるのが、謎解きとユーモアの両要素がいい按配でまざる中篇なのではないだろうか。

 本書もそういう意味でなかなか楽しく読むことができた。以下、簡単に作品ごとのコメント。
 表題作の「ようこそ、死のパーティーへ」は上流階級を相手にしたパーティーの企画屋ベスが依頼人。自分を中傷する手紙を書いた犯人を見つけ出してほしいというものだが、そこまで驚くような真相ではない。それでも謎解きはきちんとしたものだし、何より機嫌の悪かったウルフが容疑者の一人からコンビーフ・ハッシュの調理法を聞いて引き込まれるくだりは傑作である(しかもラストまで引っ張る)。

 「翼の生えた銃」はウルフものの中短編では定番の一編らしいが、確かに本書中でも一番の切れ味である。自殺したテノール歌手の未亡人と現在の婚約者が、自殺事件の再調査を依頼する。ところが真相をつきとめたいという割には何やら隠し事をしている模様。業を煮やしたウルフだが……という一席。
 現場に残された銃がなぜ移動したかという謎一本でほぼ引っ張り、ラストの謎解きシーンが実に鮮やか。

 「『ダズル・ダン』殺害事件」は人気コミックの作者が依頼人。スタッフの一人が彼の銃を盗んだということで、アーチーがウルフに命じられて調査に乗り出すが、そこで発生したのが殺人事件。容疑はアーチーに向けられたが、どうやら彼はめられたっぽい……。アメコミ業界の一端を垣間見ることができたり、アーチー逮捕という展開が面白い一編。


テーマ:推理小説・ミステリー - ジャンル:本・雑誌




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