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探偵小説三昧

天気がいいから今日は探偵小説でも読もうーーある中年編集者が日々探偵小説を読みまくり、その感想を書き散らかすページ。

 

マイクル・コナリー『罪責の神々(上)』(講談社文庫)

 マイクル・コナリーの『罪責の神々』をとりあえず上巻まで読む。リンカーン弁護士ものの最新作である(といっても発売は昨年の十月だけど)。

 こんな話。リンカーン弁護士の異名をとるミッキー・ハラー。今回、彼のもとに届いた依頼は、売春婦殺害容疑で逮捕されたポン引き、アンドレ・ラコースの弁護だ。ラコースは真っ当な人間とはいえないが、決して殺人はやっていないという。
 調査を始めたハラーだったが、なんと殺害された売春婦は、ハラーのかつての依頼人でもあったグロリアだった。彼女は売春から足を洗い、今ではハワイに住んでいるはずだったが、それはまったくの嘘。なんとロスで娼婦に復帰していたのである。
 ハラーはかつて彼女が関係した事件が今回の件にも関わっているのではないかと考えるが……。

 罪責の神々(上)

 ハリー・ボッシュが陰ならミッキー・ハラーは陽のイメージ。シリーズ当初は孤独な感じのハラーだったが、今では仲間といっしょに戦うことができるし、初期のやさぐれた感じは薄れている。それでも前作『証言拒否』の失敗で受けた心の傷は癒えておらず、今作でも色々引きずっている部分もあり、キャラクター的にもいい感じで深みを増している印象だ。

 ストーリーも出だしは好調で、相変わらずお話作りの巧さを感じさせるところはさすがコナリー。過去の出来事が最新作の事件に影を落とすというのは毎度お馴染みのパターンではあるが、見せ方が巧いので特に気になるものではない。
 また、そういう過去の事件を絡める割にはストーリーが非常にテンポよく進むのもよい。それが逆に物足りなく感じる場合もあるのだけれど、まあ、そこは下巻の展開に期待するとしよう。

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プロフィール

sugata

Author:sugata
ミステリならなんでも好物。特に翻訳ミステリと国内外問わずクラシック全般。
四半世紀勤めていた書籍・WEB等の制作会社を辞め、2021年よりフリーランスの編集者&ライターとしてぼちぼち活動中。

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