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探偵小説三昧

日々,探偵小説を読みまくり、その感想を書き散らかすブログ


木魚庵/編『金田一耕助 知られざる事件簿ハンドブック』

 金田一耕助のファンサイト『金田一耕助博文館』の運営者・木魚庵氏の同人誌『金田一耕助 知られざる事件簿ハンドブック』が出たので購入してみる。

 金田一耕助 語られざる事件簿ハンドブック

 本書は金田一耕助が登場する作品中から、その存在だけが語られている事件をまとめたガイドブックである。
 例えば『本陣殺人事件』では、サンフランシスコに住む日本人たちの間で起こった奇怪な殺人事件を、金田一が見事な推理によって解決したというようなことが記述されている。本書ではそういった原作の記述をピックアップし、その事件ごとに推定年代と出典、概要などをまとめているわけである。
 原作の記述があまりにふわっとしたものしかないので、そこまで詳しい分析があるわけではない。しかし原作の隠された事件の記述をヒントに書かれた、他の作家のパスティーシュや贋作を紹介してくれているのが資料的にも面白いところだろう。

 ただ、どうせここまでやってくれたのなら、金田一耕助の生涯を俯瞰的に見せるもの、例えば年表などでその生涯をざくっとまとめるようなページがあればよかった。そうすれば原作と語られざる事件との関係もより理解しやすくなったのではないだろうか。
 あと、野暮を承知で書いておくと、職業柄どうしても気になったのが、文字の組み方や大きさ、カコミの処理などレイアウト全般である。本書の内容はすべてテキストベースなので、こういう本は下手に工夫しようなどと思わず、普通の小説のように組んだほうが読みやすくなる。もし同人誌をお考えのかたで少しレイアウトにも凝りたいという人は、こういったガイド系のものなら学校の教科書や参考書のレイアウトなどが意外に参考になるはずである。

 ちょっと注文もつけてしまったが、基本的にはディープな金田一ファン、横溝ファンには便利な一冊だろう。こういう内容は調べる労力も大変だし、そもそも商業出版としてはまず通らない企画だろうから実にありがたい話である。乱歩に比べると正史関係の関連本はまだまだ少ないので、同人誌に負けず商業出版ももう少し元気を出してもらいたいものだ。
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sugata

Author:sugata
ミステリならなんでも好物。特に翻訳ミステリと国内外問わずクラシック全般。
四半世紀勤めていた書籍・WEB等の制作会社を辞め、2021年よりフリーランスの編集者&ライターとしてぼちぼち活動中。

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