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 マイクル・コナリーの『燃える部屋』をとりあえず上巻まで読む。おなじみロス市警ボッシュ刑事ものの一冊。
 いつも書いていることだが、最近のボッシュものはエンターテインメントとしてはほぼ文句なしなのだけれど、初期作に感じられた重苦しいほどのボッシュの怒りや葛藤といったところはかなり薄れてきている。さすがのボッシュも年齢を重ねてだいぶ丸くなってきたということか、あるいは著者の路線変更によるものなのか、おそらくはその両方なのだろうけれど、最初期からの読者としてはやや複雑な思いもしているのは確か。
 さあ、本作ではいかに?

 燃える部屋(上)

 未解決事件を扱うボッシュの最新の事件は音楽家の殺人事件だが、状況は少々複雑だ。被害者は最近死亡したばかりのメキシコ系の民族楽器演奏者メルセドだが、彼が銃弾に倒れたのは十年も前のこと。メキシコ系アメリカ人が多く集まるロサンジェルスのマリアッチ広場で、ギャングの抗争に巻き込まれ、流れ弾を受けてしまったのだ。
 それからのメルセドは体に残った銃弾の感染症に苦しめられ、幾度となく入退院を繰り返しながら、ついに事件から十年後に亡くなったのである。そこであらためて検死解剖が行われたのだが、これまで明らかになかった事実が見つかり……というのが上巻のだいたいの流れである。

 注目は、ボッシュの新たな相棒として登場するメキシコ系アメリカン人のルシア・ソトか。銃撃戦での英雄的行為が認められ、刑事として抜擢された彼女だが、自身もその荷がまだ重いことを自覚しており、ボッシュのサポートのもと二人で捜査を進めていく。
 例によってマスコミ対策に熱心な上層部との軋轢など、多少の障害はあるのだが、この辺はあっさり流して、著者はむしろ二人の捜査活動と関係性を見せることに重きを置いているような気がする(ただ伏線らしきものはガンガン入れてくるけれど)。
 こういったところも初期作との大きな違いで、やはり著者の読ませたいポイントが以前とは変わってきているのかなとは思う。あと、単純に読ませる技術が高くなったというのも大きいか。
 とりあえず言えるのは、相変わらずリーダビリティについてはすこぶる高いということ。続く下巻にも期待である。

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テーマ:推理小説・ミステリー - ジャンル:本・雑誌




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