- Date: Sun 16 12 2018
- Category: 雑記
- Community: テーマ "推理小説・ミステリー" ジャンル "本・雑誌"
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ミステリベストテン比較2019年度版
この二、三年、趣味的にミステリのベストテン比較をやっているが、今年もほぼ各種ランキング本が出揃ったようなので調べてみた(海外部門のみ)。
基本的には『ミステリマガジン』の「ミステリが読みたい!」、『週刊文春』の「ミステリベスト10」、宝島社の『このミステリがすごい!』の各ランキング20位までを対象に平均順位を出すというもの。『本格ミステリ・ベスト10』もけっこう知名度はあるが、ジャンルが本格のみなので対象外としている。
また、ランキングによって対象となる刊行期間が異なるため(ミステリマガジンのみ10月から9月、他は11月から10月)、1つしかランクインしていないものは省き、ふたつのランキングにランクインしているもののみ取り上げている。
ただ、1つしかランクインしていないものでも、それがむしろランキングの個性ということにもなるので、参考資料としてそちらも並べてある。
で、今年は以下のような結果となった。

昨日のブログでも書いたが、今年は圧倒的な創元のワンツーフィニッシュという結果である。まあ、『カササギ殺人事件』はプロモーションも力が入っていたし、しかも内容がそれに見合うものだったので妥当なところだろう。二位の『そしてミランダを殺す』はもちろん面白い作品ではあるのだが、もし『カササギ殺人事件』がいなかったらトップ独占ということになったわけで、さすがにそこまでの作品とは思えないんだよなぁ。プロットとストーリーのひねり具合がよほど評価されたんだろうか。
三位から五位に目をやると、多少ばらつきはあるが、実はこちらもほぼ鉄板状態。とはいえ内容はハードボイルドっぽいもの、アジアン本格、ドイツのどんでん返し職人とバラエティに富み、年末年始の読書にはなかなかよいラインナップになっていると言える。
まあ、ここまで上位ランキングが似通っていると各誌の存在意義は非常に薄くなってはしまうわけで、これを各担当さんはどういうふうに捉えるか、である。面白いものは面白いから仕方ないと開き直るか(笑)、あるいは来期はクセを強めてくるのか、お手並み拝見というところだろう。正直、後発組には少し考えてほしいものだが。
ただ、ランキング本の意義は置いておくと、今年は創元が強かったけれど、早川、文春もかなりの数が上位を占めており、これらの版元としては大健闘だろう。文春をのぞけば、集英社や講談社、新潮社といった大手が壊滅状態だけに、専門系出版社の意地を感じる。
そんななか、できたばかりの零細出版から出た「あやかしの裏通り」は凄い。ほぼネットでの宣伝しかしていないと思うのだが、マニア諸氏のハートをガッチリ掴んで(管理人もその口だが)、ベストテンに食い込んできたのは大したものだ。
また、クラシックゆえランキング的にはどうしても不利だが、論創海外ミステリは今年もがんばっていた印象。まあ、ビジネスとしては難しいのはわかっているが、もう少し一般的な人気を集めてもいいと思うのだがなぁ。
あと、ここ数年の傾向といえるかどうか、大御所や常連といった作家の作品が上位にこなかったのが印象に残った。それなりのレベルの作品を書いても、どうしても過去の傑作と比べるからインパクトは弱くなるのだろうけれど、以前は名前だけで上位にくるケースも多かったから、本当のところの出来は気になるところである。
個人的にはキングやディーヴァーをすっかり追っかけなくなってしまったのだが、でも本当にすごい作品はやっぱり読みたいものなぁ。
管理人の個人的注目作家はセバスチャン・フィツェックとギヨーム・ミュッソ。どちらも未読の作家で、特にフィツェックは今回のものだけでなく、既刊作品も評判がよかったようなので、そろそろまとめて読んでおきたい作家である。
基本的には『ミステリマガジン』の「ミステリが読みたい!」、『週刊文春』の「ミステリベスト10」、宝島社の『このミステリがすごい!』の各ランキング20位までを対象に平均順位を出すというもの。『本格ミステリ・ベスト10』もけっこう知名度はあるが、ジャンルが本格のみなので対象外としている。
また、ランキングによって対象となる刊行期間が異なるため(ミステリマガジンのみ10月から9月、他は11月から10月)、1つしかランクインしていないものは省き、ふたつのランキングにランクインしているもののみ取り上げている。
ただ、1つしかランクインしていないものでも、それがむしろランキングの個性ということにもなるので、参考資料としてそちらも並べてある。
で、今年は以下のような結果となった。

昨日のブログでも書いたが、今年は圧倒的な創元のワンツーフィニッシュという結果である。まあ、『カササギ殺人事件』はプロモーションも力が入っていたし、しかも内容がそれに見合うものだったので妥当なところだろう。二位の『そしてミランダを殺す』はもちろん面白い作品ではあるのだが、もし『カササギ殺人事件』がいなかったらトップ独占ということになったわけで、さすがにそこまでの作品とは思えないんだよなぁ。プロットとストーリーのひねり具合がよほど評価されたんだろうか。
三位から五位に目をやると、多少ばらつきはあるが、実はこちらもほぼ鉄板状態。とはいえ内容はハードボイルドっぽいもの、アジアン本格、ドイツのどんでん返し職人とバラエティに富み、年末年始の読書にはなかなかよいラインナップになっていると言える。
まあ、ここまで上位ランキングが似通っていると各誌の存在意義は非常に薄くなってはしまうわけで、これを各担当さんはどういうふうに捉えるか、である。面白いものは面白いから仕方ないと開き直るか(笑)、あるいは来期はクセを強めてくるのか、お手並み拝見というところだろう。正直、後発組には少し考えてほしいものだが。
ただ、ランキング本の意義は置いておくと、今年は創元が強かったけれど、早川、文春もかなりの数が上位を占めており、これらの版元としては大健闘だろう。文春をのぞけば、集英社や講談社、新潮社といった大手が壊滅状態だけに、専門系出版社の意地を感じる。
そんななか、できたばかりの零細出版から出た「あやかしの裏通り」は凄い。ほぼネットでの宣伝しかしていないと思うのだが、マニア諸氏のハートをガッチリ掴んで(管理人もその口だが)、ベストテンに食い込んできたのは大したものだ。
また、クラシックゆえランキング的にはどうしても不利だが、論創海外ミステリは今年もがんばっていた印象。まあ、ビジネスとしては難しいのはわかっているが、もう少し一般的な人気を集めてもいいと思うのだがなぁ。
あと、ここ数年の傾向といえるかどうか、大御所や常連といった作家の作品が上位にこなかったのが印象に残った。それなりのレベルの作品を書いても、どうしても過去の傑作と比べるからインパクトは弱くなるのだろうけれど、以前は名前だけで上位にくるケースも多かったから、本当のところの出来は気になるところである。
個人的にはキングやディーヴァーをすっかり追っかけなくなってしまったのだが、でも本当にすごい作品はやっぱり読みたいものなぁ。
管理人の個人的注目作家はセバスチャン・フィツェックとギヨーム・ミュッソ。どちらも未読の作家で、特にフィツェックは今回のものだけでなく、既刊作品も評判がよかったようなので、そろそろまとめて読んでおきたい作家である。
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