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岡田鯱彦『薫大将と匂の宮』(扶桑社昭和ミステリ秘宝)
岡田鯱彦の『薫大将と匂の宮』を読む。国書刊行会版の『薫大将と匂の宮』とは表題長篇のみダブるものの、本書は収録作が時代ミステリというテーマでまとまられており、まさに国文学者でもあった著者の面目躍如たるラインナップである。収録作は以下のとおり。
『薫大将と匂の宮』
「妖奇の鯉魚」
「菊花の約」
「吉備津の釜」
「浅茅が宿」
「青頭巾」
「竹取物語」
「変身術」
「異説浅草寺縁起」
「艶説清少納言」
「コイの味」
「「六条の御息所」誕生」
「古典文学の現実的刺激-雨月物語に関して-」(エッセイ)
「清少納言と兄人の則光」(エッセイ)
上で時代ミステリとは書いたが、『薫大将と匂の宮』以外はどちらかというと幻想小説に近い。特に「妖奇の鯉魚」から「青頭巾」は新釈雨月物語というお題のもとに書かれたもので、本家同様、怖い話やしみじみとした話が岡田鯱彦流に語られる。そうかと思うと「新お伽草子 竹取物語」などはけっこうコミカルな味付けであり、岡田鯱彦という作家が語ることにかけてはなかなか幅広い技術をもっていることを認識させられる。
まあ本書で扱っている対象は、それこそ国文学者岡田鯱彦の専門分野そのものであるから、著者がそのスキルをフルに活かして愉しんでいる印象が強い。ただ自分一人が愉しむのではなく、読者がちゃんとついてこれるような気配り・サービスは為されている。古典がベースだから敷居が高いなぁ、などと敬遠せず、一度手に取ることをお勧めする。予想以上に読みやすく面白い一冊なのは保証する。
なお、長篇の『薫大将と匂の宮』は国書刊行会版での感想を参考のこと。
『薫大将と匂の宮』
「妖奇の鯉魚」
「菊花の約」
「吉備津の釜」
「浅茅が宿」
「青頭巾」
「竹取物語」
「変身術」
「異説浅草寺縁起」
「艶説清少納言」
「コイの味」
「「六条の御息所」誕生」
「古典文学の現実的刺激-雨月物語に関して-」(エッセイ)
「清少納言と兄人の則光」(エッセイ)
上で時代ミステリとは書いたが、『薫大将と匂の宮』以外はどちらかというと幻想小説に近い。特に「妖奇の鯉魚」から「青頭巾」は新釈雨月物語というお題のもとに書かれたもので、本家同様、怖い話やしみじみとした話が岡田鯱彦流に語られる。そうかと思うと「新お伽草子 竹取物語」などはけっこうコミカルな味付けであり、岡田鯱彦という作家が語ることにかけてはなかなか幅広い技術をもっていることを認識させられる。
まあ本書で扱っている対象は、それこそ国文学者岡田鯱彦の専門分野そのものであるから、著者がそのスキルをフルに活かして愉しんでいる印象が強い。ただ自分一人が愉しむのではなく、読者がちゃんとついてこれるような気配り・サービスは為されている。古典がベースだから敷居が高いなぁ、などと敬遠せず、一度手に取ることをお勧めする。予想以上に読みやすく面白い一冊なのは保証する。
なお、長篇の『薫大将と匂の宮』は国書刊行会版での感想を参考のこと。
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