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 だいぶ回復したがまだ体調万全とはいかず。とはいえ、けっこう休みや早退で仕事も遅れがちなので、今週は騙しだまし業務に復帰。まだ筋肉や関節のあちらこちらに痛みがあって、電車がけっこう辛い。


 大下宇陀児の少年探偵小説『黒星團の秘密』を読む。元は青柿社から昭和二十三年に発行されたもので、それを湘南探偵倶楽部さんが復刊した同人版である。

 こんな話。かつて東京を騒がせた犯罪組織“黒星團”。企業や大金持ちから金銀財宝を略奪するが、被害者はみな悪人ばかりであり、決して殺人などの暴力犯罪は犯さない、いわば義賊の集団であった。しかし、あるとき急に“黒星團”は活動を停止し、人々もその存在を忘れていった。
 それから十五年。突如、“黒星團”は夕刊に広告を掲載し、その犯罪活動を再開すると宣言した。人々は驚きながらも、ひどい目にあうのはどうせ悪人だけだという安心感もどこかにあったのだが……。
 そんなある日の夜、一人の少年が住宅地を歩いていると強盗事件を目撃する。口封じのため犯人に捕らえられた少年は、彼らこそ世間を騒がす“黒星團”だと知らされるのだが……。

 黒星團の秘密

 大下宇陀児のジュヴナイルはあまり読んだ記憶がないが、これはけっこう面白く読めた。
 ストーリーがとにかくよい。もとは少年向け雑誌『日本少年』に連載していただけあって、章ごとに見せ場があり、テンポよく物語が進んでいく。かといって当時の少年ものにありがちな、度を越した設定やアクションは少なく、バランスが思った以上にいいのである。
 プロットもかなり工夫されているし、もちろんメインの仕掛けなどは今読めば見え見えなのだけれど、こういうネタは当時は新鮮だったろうし、いやあ、これは悪くない。
 設定から想像するに、おそらく元ネタはルパン・シリーズかマッカレーのブラック・スター・シリーズあたりだと思うが、ブラック・スターってそのまま黒星なわけだから、まあ、後者なのだろう。

 ちなみに本書とほぼ同時期に、東都我刊我書房さんから『黒星章 -黒星団の秘密-』というのが復刊されている。こちらはなんと本書の戦前版ということで、内容的にかなりの違いがあるらしい。本書の記憶が薄れないうちに、そちらも読んでおかないとだな。
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テーマ:推理小説・ミステリー - ジャンル:本・雑誌




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