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 フレドリック・ブラウンの『ディープエンド』を読む。先日読んだアルレーもそうだったが、フレドリック・ブラウンもまともに読むのは実に久しぶりである。しかも本作は短編集やSFではなく、ノンシリーズの長編ミステリというのがちょっと嬉しい。

 まずはストーリー。一週間の休暇を翌日に控えた新聞記者サム・エヴァンズ。しかし本来なら休暇を共に過ごすはずの妻とは関係が冷え切っており、友人たちと釣りに行く予定だった。そんな休暇目前のサムに飛び込んできた仕事は、ジェットコースターの死亡事件。所持していた財布から、被害者は地元のちょっとしたヒーロー的な男子高校生だとわかり、お涙頂戴の記事に仕立て上げたサムだったが、なんと入稿直前に被害者が別人だとわかる……。

 ディープエンド

 シリアルキラーというかサイコパスを扱っていて、当時はそういう認識で書いていないと思うのだが、その真相はかなり薄ら寒いものを感じさせる。ディープエンドというタイトルもかなり意味深。
 ただ残念なことに、そこはブラウンの作風もあって全体的には意外にさらっと流しており、また時代を感じさせるところでもある。着想はかなり面白いが、今時のサイコサスペンスに慣れた読者には少々、刺激不足といえるだろう。サムが真相へ近づいてゆく流れもいまひとつ雑で、このあたりがもう少し緻密に、そして劇的に展開できていれば、よりサスペンスも盛り上がったと思うのだが。
 とはいえサムの不倫相手ニーナとのエピソードや、被害者の友人ピートの活躍など、こういう端々の描き込みが上手くて、トータルで著者の職人芸は充分に楽しめるだろう。傑作とはいえないが、読んでいる間の満足度は決して低くない。


テーマ:推理小説・ミステリー - ジャンル:本・雑誌




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