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探偵小説三昧

日々,探偵小説を読みまくり、その感想を書き散らかすブログ


「暗がりから池袋を覗く~ミステリ作家が見た風景~」@豊島区立郷土資料館

 週末の宿題二つ目は、池袋の豊島区立郷土資料館で開催されている企画展「暗がりから池袋を覗く~ミステリ作家が見た風景~」である。
 池袋に所縁のあるミステリ作家を通して、昭和初期から現代にかけての池袋・雑司が谷界隈の変遷を辿ろうというもの。取り上げられた作家は江戸川乱歩を筆頭に、大下宇陀児、飛鳥高、泡坂妻夫、京極夏彦という面々で、これは豪華だ。

 池袋がつい最近までかなり危険な街だったことは、昔から住んでいる人間ならみな口にするところだが、ミステリ作家の資料でもそれを匂わせる描写は少なくない。池袋には戦後のヤミ市の暗部をそのまま現代まで引きずってきているようなところがあり、それがまた危険な魅力にもなっていた。
 かくいう管理人も実は池袋駅から十五分ほど、旧乱歩邸からも五分ほどのところに住んでいたことがあり、池袋に魅せられていた一人である。

 展示物全体でいうと、まあ、昨日の記事で紹介したコレクション展「仁木悦子の肖像」もそうだったが、こちらも規模が小さく、あっという間に見終わってしまうレベルなのは人によって不満の残るところだろう。ただ、こちらが年をとったせいもあり、逆にゆっくり集中して見るには程よい感じであった。
 なかでも飛鳥高関連の展示というのはあまり記憶がなく、個人的には一番注目していたところである。仁木悦子と同様、プロットがチャート式で描かれていたり、トリックのメモがあったりと、こういうところに作家の性格や個性がはっきり現れるなぁと感心する。

 暗がりから池袋をのぞく_01

 なお、グッズとして図録、缶バッジ、手拭も販売していたが、この手のイベントとしてはなかなか良心的価格だったので、とりあえずすべて買ってしまう。乱歩はともかく飛鳥高や大下宇陀児のグッズというのはなかなか見ないしねぇ(笑)。
 図録は小冊子というようなものだが、写真を載せてはいお終い、というのではなくテキストメインなのが嬉しい。しかも300円だし。
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プロフィール

sugata

Author:sugata
ミステリならなんでも好物。特に翻訳ミステリと国内外問わずクラシック全般。
四半世紀勤めていた書籍・WEB等の制作会社を辞め、2021年よりフリーランスの編集者&ライターとしてぼちぼち活動中。

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