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 昨今では同人に対する取り組み方もずいぶん変化してきたようなイメージがあるが、それはミステリも御同様。従来はあくまでアマチュアのお楽しみというか、二次創作だったりのファンジン中心だったと思うのだが、最近はクラシックの復刻や評論も多く、商業出版顔負けの内容である。なかには盛林堂さんのようにほとんどプロといってよい特殊なものまで。
 もちろん、そういう活動はこれまでもあったのだろうが、近年はインターネットの普及でよけい目につくようになったことは間違いない。内輪で頒布して終わり、というのではなく、より幅広く同好の士に宣伝し、販売も容易にできるようになっているのだ。

 Murder, She Drew

 本日の読了本もそうした本の一冊で、ガチガチのミステリマニアが作った『Murder, She Drew Vol.1 Beware of Fen』。なんと英国の本格ミステリ作家エドマンド・クリスピンのガイドブックである。
 もうクリスピンの単独ガイドブックという時点でけっこうなインパクト。とりあえずクラシックミステリのファンなら買わないわけにはいかないだろうが、この本もTwitterで知ったわけで、いやはやありがたい時代である。

 肝心の中身だが、構成としてはクリスピンの残した全ミステリ作品を、本文の記述をもとに起こした地図や見取り図、著者三氏による鼎談というスタイルで発表順に解説するというもの。
 気が利いているのは、鼎談部分をネタバレなしとネタバレありの大きく二部構成にしていること。ミステリならではの心遣いであり、また、ほかには森咲郭公鳥氏による本誌メイキングネタの漫画も楽しい。
 鼎談については、固い評論というわけではなく、作品ごとにその注目ポイントを取り上げていくという感じか。肩肘張らずに楽しめる内容となっているが、日本でのクリスピン作品のイメージがいまひとつ正確ではないという指摘、日本では本国での発表順とはまったく異なる順番で紹介されたことが後々の評価を曖昧にしてしまったなどという考察もあってなかなか興味深い。

 ちなみに管理人はクリスピンの翻訳された作品は一応すべて読んでいるのだが、それほど相性がいいわけではない。ただ、本作を読んで、あらためて本国での発表順に読みたい気持ちは大きくなった。とりあえず本書でイチ押しの『お楽しみの埋葬』は再読してみたい。
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テーマ:評論集 - ジャンル:本・雑誌




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