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探偵小説三昧

日々,探偵小説を読みまくり、その感想を書き散らかすブログ


楠田匡介『少年少女探偵冒険小説選 II』(湘南探偵倶楽部)

 湘南探偵倶楽部さんが少年少女向けの探偵小説を復刻しており、特に楠田匡介には力を入れているようで、本日の読了本はその一冊『少年少女探偵冒険小説選 II』である。

 少年少女探偵冒険小説選II

「黒い流星」
「良夫君の事件簿 II」

 収録作は以上。「黒い流星」は光文社の『少年』で昭和27年9月号に掲載されたもの。もうひとつの「良夫君の事件簿 II」は連作短編で、旺文社の『中学時代二年生』で昭和35年に連載されたもの、さらに『高一時代』で昭和39年に連載されたものをまとめている。
 まあ、内容的にはいつものとおりで(苦笑)、楠田ジュヴナイルでおなじみの名探偵・小松良夫君の活躍がフルに楽しめる。「黒い流星」ではレギュラー陣の小松博士や田名見警部らとともに爆破事件の謎に迫るが、父親の小松博士がスパイの攻撃で命を落とすというショッキングな展開が注目だろう。もちろん当時のジュヴナイルの常套手段で、死んだと見せかけて……というオチなのだが、その役割を明智のような名探偵ではなく、単なるイチ科学者にさせるところが楠田作品の無茶なところである。
 「良夫君の事件簿 II」は『少年少女探偵冒険小説選1』に収録された「良夫君の事件簿 1」と同様、推理クイズレベルの作品で、さすがにそこまで見るべきものはない。

 ちょっと気になったのは、主人公・小松良夫君の設定が「黒い流星」ほか、いくつかの作品では小学六年生となってはいるものの、その設定がどこまで生きているのかということ。
 たとえば本書収録の「良夫君の事件簿 II」ではそのあたりについての記述が一切ない。果たして小学六年生のままなのか、それとも掲載誌にあわせて年齢をあげているのか、あるいは経年にしたがって年齢をあげているのか?
 なんせ小松良夫君シリーズの全貌がわからないので何とも言えないのだが、良夫君の各作品の言動を見てみると、やはり小学六年生ぐらいなのかなという印象は受ける。学習雑誌の場合、通常は主人公の年齢もその学年にあわせることが多いので、元からの設定が異なっているときは、この辺りの描写はあえて省いている可能性も高そうだ。まあ当時のジュヴナイルゆえ、厳密な設定など決めていない可能性の方ががはるかに高いのだろうけれど(苦笑)。
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sugata

Author:sugata
ミステリならなんでも好物。特に翻訳ミステリと国内外問わずクラシック全般。
四半世紀勤めていた書籍・WEB等の制作会社を辞め、2021年よりフリーランスの編集者&ライターとしてぼちぼち活動中。

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