- Date: Thu 17 11 2005
- Category: 海外作家 クリスピン(エドマンド)
- Community: テーマ "推理小説・ミステリー" ジャンル "本・雑誌"
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エドマンド・クリスピン『大聖堂は大騒ぎ』(国書刊行会)
ボジョレー・ヌーヴォー解禁。さっそく1本空けてみたが、今年は当たり年という前評判どおり、なかなかさっぱりしていて美味しい。とはいうものの、実はワインの善し悪しというのがもうひとつピンと来ない(笑)。日本酒やビール、ウィスキーなら多少は自信があるのだけれど、なぜかワインは駄目なのだ。もちろん味の好き嫌いはあるのだけれど、それがそのままワインの出来に直結しない。つまり1000円のワインでも大変美味しく飲むこともあれば、5000円のワインでもそれほど美味く感じないこともあるわけ。日本酒ならそんなことはないんだがなぁ。
エドマンド・クリスピンの『大聖堂は大騒ぎ』を読む。
こんな話。友人のフェン教授からイギリスの地方都市トールンブリッジに招かれた音楽家のジェフリイ。大聖堂のオルガン奏者が何者かに襲撃されたため、その代わりを務めてほしいという。
不安を抱えながらもトーンブリッジに出かけようとするジェフリイだが、行く先々で命を狙われ、ようやく到着したトールンブリッジでも次々と事件が勃発。いったいトールンブリッジにはどんな秘密が隠されているというのだろう?
ウィットの利いた会話やユーモアで彩られた上品な本格ミステリがクリスピンの持ち味だが、本作ではそれに加えて、怪奇趣味やロマンス、不可能犯罪とまさに盛り沢山。だがそのためテイストに統一感が感じられず、はっきりいって大味である。
また、肝心の謎解き部分もそれほど推理するという見せ場がなく、終盤は事件の方で勝手に転がっていく印象は免れない。とはいえトリックはなかなか奇抜だし、やりすぎと思われるほどの導入部のエピソードなどは個人的には嫌いではない。探偵役のフェン教授のキャラクターも後期のやや落ち着いたそれとは違って、かなりエキセントリックなのもそれはそれで楽しい。
粗っぽい作品ではあるのだが、そういった部分も含めて、とりあえず本格ファンは読んでおいて損はない作品である。
エドマンド・クリスピンの『大聖堂は大騒ぎ』を読む。
こんな話。友人のフェン教授からイギリスの地方都市トールンブリッジに招かれた音楽家のジェフリイ。大聖堂のオルガン奏者が何者かに襲撃されたため、その代わりを務めてほしいという。
不安を抱えながらもトーンブリッジに出かけようとするジェフリイだが、行く先々で命を狙われ、ようやく到着したトールンブリッジでも次々と事件が勃発。いったいトールンブリッジにはどんな秘密が隠されているというのだろう?
ウィットの利いた会話やユーモアで彩られた上品な本格ミステリがクリスピンの持ち味だが、本作ではそれに加えて、怪奇趣味やロマンス、不可能犯罪とまさに盛り沢山。だがそのためテイストに統一感が感じられず、はっきりいって大味である。
また、肝心の謎解き部分もそれほど推理するという見せ場がなく、終盤は事件の方で勝手に転がっていく印象は免れない。とはいえトリックはなかなか奇抜だし、やりすぎと思われるほどの導入部のエピソードなどは個人的には嫌いではない。探偵役のフェン教授のキャラクターも後期のやや落ち着いたそれとは違って、かなりエキセントリックなのもそれはそれで楽しい。
粗っぽい作品ではあるのだが、そういった部分も含めて、とりあえず本格ファンは読んでおいて損はない作品である。
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客観的には悪い作家ではないと思うので、『愛は血を流して横たわる』も含め、入手できる範囲ではすべて読んできています。ただ、私には何となく相性の悪い作家ですね。『大聖堂は大騒ぎ』は比較的楽しめた記憶があるのですが。