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 マイクル・コナリーの『訣別』下巻読了。
 私立探偵として大富豪ヴァンスの跡取りを探すハリー・ボッシュ。ヴァンスの血筋が途絶えていなかったことを突き止めるが、その矢先、ヴァンスは死亡してしまう。しかし、ヴァンスの残した手紙によって局面は一気に緊迫を迎える。
 その一方で嘱託刑事として〈網戸切り〉と呼ばれる連続レイプ事件も追うボッシュ。だが、ヴァンスの件で急ぎの対応を迫られたボッシュは、相棒の女性刑事ベラにある調査を任せるが、その後、ベラの消息が不明になってしまう……。

 訣別(下)

 初期の荒ぶるボッシュに魅力を感じているので、どうしても最近の作品にはやや物足りなさを感じているのだが、そこさえ気にしなければミステリとしては十分に面白い読み物である。

 本作のキモは当然ながら、並行して展開される二つの事件だ。二つの事件に直接的な関連はないが、一人の人間すなわちボッシュがそのハブになっていることで、双方に微妙な影響を及ぼす。仕組みとしてはストーリー上の絡み程度ではあるが、それぞれハードボイルドとサイコサスペンスという異なるアプローチで変化をつけており、一冊で二度美味しいという感じだ。
 個人的には特にヴァンスの跡取り探し事件の方が興味深く、遺産をめぐっての謀略ものみたいに膨らませるのかと思いきや、かなり予想外の落とし所を見せて巧い。正直、コナリーがよくやる手ではあるのだが、今回はモジュラー型の構成だったせいか、より予測しにくく、完全に一杯食わされた感じである。できればこちらの事件は、それ単独で膨らませてほしかったほどだ。

 ただ、ミステリやストーリーとしては満足しているが、最初に書いたようにボッシュの物語としては物足りない(本作に限らず、このところのボッシュものすべてにいえるけれど)。
 ボッシュも歳をとって丸くなっただろうし、何よりボッシュ自身の一番の問題がひと段落したことは大きいのだが、ときにはボッシュ自身の“怒り”の物語も読みたいのだがなぁ。

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テーマ:推理小説・ミステリー - ジャンル:本・雑誌





ポール・ブリッツさん

いや、それも少しはあるのでしょうが、実はそちらに出品しない本も多くて。ネット販売や文学フリマというよりはあくまで昔ながらの通販タイプ(まあ、やりとり自体はeメールですが)。
【2019/11/29 23:45】 URL | sugata #8Y4d93Uo[ 編集]

Twitterから。

>同人誌

文学フリマ東京……。
【2019/11/29 22:21】 URL | ポール・ブリッツ #0MyT0dLg[ 編集]















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