- Date: Sat 18 04 2020
- Category: 海外作家 フリーマン(オースティン)
- Community: テーマ "推理小説・ミステリー" ジャンル "本・雑誌"
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オースティン・フリーマン『盗まれた金塊』(湘南探偵倶楽部)
湘南探偵倶楽部さんが復刻している「知られざる短篇」シリーズからオースティン・フリーマンの『盗まれた金塊』を読む。かつて改造社が刊行した『世界大衆文学全集60 ソーンダイク博士』に収録された短編で、現状ではそこそこレアな一作。とはいえ国書刊行会から『ソーンダイク博士短編全集』が出れば新訳で読めるのだから、これで無理に読む必要はないのだけれど、まあ、当時の翻訳の雰囲気も気になって読んでみた次第。

ソーンダイク博士のもとに保険会社の重役が訪ねてきた。アフリカの採金会社から英国の宝石会社ミントン・ボウエル商会に送られた金塊の詰められた箱の中身が、いつのまにか鉛管にすり替わっていたのだという。金塊の箱は港から汽車に積まれたが、直行便がないため、ある小さな駅で積み替えのため一時保管していたとのこと。警察の話では、その駅ですり替えが行われたということだが……。
事件そのものにそれほど面白みはなく、トリックも今となってはさすがに古臭いけれど、それを見破るソーンダイク博士の着眼点がよく、そこからの推理もいつもどおり論理的、科学的で本格の楽しさは満喫できる。ソーンダイクが冒頭で「人の話には主観が入るから、それを鵜呑みにしてはいけない。事実をしっかり量ることが大切だ」というような意味のことを言うのだけれど、まさにそれを実践した内容である。途中で船による追跡劇もあり、これもただの味つけに終わらせていなのが心憎い。
ちなみにトリックが古臭いと書いたけれど、これ、子供向けの推理クイズとかでよく使われたネタであり、その先鞭をつけたというのであれば、むしろ、さすがオースティン・フリーマンというべきであろう。まあ、確かめたわけではないので、本作が二番煎じの可能性もあるけれど(笑)。

ソーンダイク博士のもとに保険会社の重役が訪ねてきた。アフリカの採金会社から英国の宝石会社ミントン・ボウエル商会に送られた金塊の詰められた箱の中身が、いつのまにか鉛管にすり替わっていたのだという。金塊の箱は港から汽車に積まれたが、直行便がないため、ある小さな駅で積み替えのため一時保管していたとのこと。警察の話では、その駅ですり替えが行われたということだが……。
事件そのものにそれほど面白みはなく、トリックも今となってはさすがに古臭いけれど、それを見破るソーンダイク博士の着眼点がよく、そこからの推理もいつもどおり論理的、科学的で本格の楽しさは満喫できる。ソーンダイクが冒頭で「人の話には主観が入るから、それを鵜呑みにしてはいけない。事実をしっかり量ることが大切だ」というような意味のことを言うのだけれど、まさにそれを実践した内容である。途中で船による追跡劇もあり、これもただの味つけに終わらせていなのが心憎い。
ちなみにトリックが古臭いと書いたけれど、これ、子供向けの推理クイズとかでよく使われたネタであり、その先鞭をつけたというのであれば、むしろ、さすがオースティン・フリーマンというべきであろう。まあ、確かめたわけではないので、本作が二番煎じの可能性もあるけれど(笑)。
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堺雅人が殺し屋とかに間違われちゃう映画でしたっけ。基本的にコメディだと思っていたのですが、ミステリとして楽しめるんですね。ぜひ今度見てみます。