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妹尾アキ夫『人肉の腸詰』(湘南探偵倶楽部)
湘南探偵倶楽部さんの復刻本から妹尾アキ夫の短編『人肉の腸詰(ソーセイジ)』を読む。湘南探偵倶楽部さんの復刻本はレアな作品が多いので、もう大して確かめもせずに注文を入れているのだが、今回はちょっと失敗。調べたら「人肉の腸詰」を収録している本を、すでに論創ミステリ叢書『妹尾アキ夫探偵小説選』と春陽堂書店『創作探偵小説選集 第3輯』の二冊も持っているではないか。でも中身はほとんど忘れていたので、まあいいや(苦笑)。

こんな話。悪党・楠田匡介は満州から帰国したものの妻・澄子のもとにも帰らず、カフェに陣取って新聞広告をむさぼり読んでいた。うまい金儲けの手がかりを探しているわけである。案の定、ある広告主の謎の待ち合わせのメッセージを見つけ、さっそく待ち合わせ相手に成りすましてでかけた楠田。そして広告主から、ある屋敷で曰く付きの手紙を盗んでほしいという依頼を受ける。ところがその屋敷で思いもかけない恐怖が楠田を待っていた……。
本作は楠田匡介のペンネームの由来となった、『新青年』での六人の作家による競作連載『楠田匡介の悪党振り』のうちの一編。盗みを依頼されたはずが、実は……というパターンはよくある設定だけれど、その待ち受けている罠が、タイトルから予想されるようにカニバリズムという趣向。人肉加工についての蘊蓄も充実しており、悪趣味全開の怪奇小説である。
この人肉加工に関するやりとりがけっこう効いていて、怖さを通り越してむしろ面白いのだけれど、それだけにラストのオチが余計である。そういう形でスマートにまとめたかったのだろうが、無理やり感がすごくて残念。

こんな話。悪党・楠田匡介は満州から帰国したものの妻・澄子のもとにも帰らず、カフェに陣取って新聞広告をむさぼり読んでいた。うまい金儲けの手がかりを探しているわけである。案の定、ある広告主の謎の待ち合わせのメッセージを見つけ、さっそく待ち合わせ相手に成りすましてでかけた楠田。そして広告主から、ある屋敷で曰く付きの手紙を盗んでほしいという依頼を受ける。ところがその屋敷で思いもかけない恐怖が楠田を待っていた……。
本作は楠田匡介のペンネームの由来となった、『新青年』での六人の作家による競作連載『楠田匡介の悪党振り』のうちの一編。盗みを依頼されたはずが、実は……というパターンはよくある設定だけれど、その待ち受けている罠が、タイトルから予想されるようにカニバリズムという趣向。人肉加工についての蘊蓄も充実しており、悪趣味全開の怪奇小説である。
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