- Date: Sun 17 05 2020
- Category: 海外作家 ゴードン(デイヴィッド)
- Community: テーマ "推理小説・ミステリー" ジャンル "本・雑誌"
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デイヴィッド・ゴードン『用心棒』(ハヤカワミステリ )
コロナや政治のニュース等々、現実があまりに辛気臭いので、小説ぐらいは楽しいものを読もうかなと思い、デイヴィッド・ゴードンの『用心棒』を手にとってみた。
こんな話。ジョー・ブロディーはハーバード大学を中退、陸軍特殊部隊で活躍した経歴をもつ凄腕だが、同時にドストエフスキーを愛する心やさしき男でもある。しかし、わけあって今では幼馴染みのマフィアのボス・ジオが経営するストリップクラブの用心棒を務めていた。
ある日のこと。クラブで結婚式を控えたアメフト選手が飲み過ぎで暴れ出し、ジョーは自分の四倍もの厚みのあるその大男を難なく片付ける。しかし、その直後にFBIがクラブを急襲、ジョーも逮捕されてしまう。
一方、ジオは、FBIがストリップクラブを狙った理由を、テロリストの影響にあると考えていた。このままではFBIの厳戒体制によって商売もやりにくくなる。そこでジオは、ジョーを使ってテロリストを挙げようとするが、ジョーは留置場で再会した中国系マフィアの男からある儲け話を持ちかけられており……。

これまで読んだデイヴィッド・ゴードンの作品は『二流小説家』と『ミステリガール』の二冊だが、これらはいわゆる純文学と犯罪小説をミックスさせたような、かなり捻くれた作風だったが、本作はストレートな犯罪小説。犯罪者を主人公にしたピカレスクロマン、ケイパー小説の類である。
知性と腕っ節を合わせ持つ主人公ジョーのキャラクターはかっこいいし、ストーリーのテンポもよい。非常に楽しくスイスイ読めるのは、さすがデイヴィッド・ゴードンの筆力といえるだろう。
特にアクションシーンが凝っており、たとえば満員エレベーターの中での格闘など、なかなか他では見られないアイディアを盛り込んでいる。
ただ、いってみればそれだけの小説なので、楽しく読めることは読めるのだが、『二流小説家』あたりを期待すると、少々拍子抜けすることも確かだろう。
ジョーとヒロイン(なんと女泥棒とFBIのダブル!!)のロマンス、ジオとの関係などもまだ入り口といった感じだし、肝心の事件も二転三転するとはいえ基本構造はかなりシンプル。どれをとってもちょっと薄味な感は否めない。シリーズ化もあるようなので、まだ出し惜しみしている可能性もありそうだが。
早川書房の公式サイトに掲載されている著者のインタビューによると、この一つ前の長編の内容が特殊すぎたせいか、出版社に売れなかったということなので、もしかするとその反動もあっての本作なのかもなぁ。
ともあれ、さらに面白くなる余地はまだまだありそうなので、続刊が出たら一応読むつもりである。
こんな話。ジョー・ブロディーはハーバード大学を中退、陸軍特殊部隊で活躍した経歴をもつ凄腕だが、同時にドストエフスキーを愛する心やさしき男でもある。しかし、わけあって今では幼馴染みのマフィアのボス・ジオが経営するストリップクラブの用心棒を務めていた。
ある日のこと。クラブで結婚式を控えたアメフト選手が飲み過ぎで暴れ出し、ジョーは自分の四倍もの厚みのあるその大男を難なく片付ける。しかし、その直後にFBIがクラブを急襲、ジョーも逮捕されてしまう。
一方、ジオは、FBIがストリップクラブを狙った理由を、テロリストの影響にあると考えていた。このままではFBIの厳戒体制によって商売もやりにくくなる。そこでジオは、ジョーを使ってテロリストを挙げようとするが、ジョーは留置場で再会した中国系マフィアの男からある儲け話を持ちかけられており……。

これまで読んだデイヴィッド・ゴードンの作品は『二流小説家』と『ミステリガール』の二冊だが、これらはいわゆる純文学と犯罪小説をミックスさせたような、かなり捻くれた作風だったが、本作はストレートな犯罪小説。犯罪者を主人公にしたピカレスクロマン、ケイパー小説の類である。
知性と腕っ節を合わせ持つ主人公ジョーのキャラクターはかっこいいし、ストーリーのテンポもよい。非常に楽しくスイスイ読めるのは、さすがデイヴィッド・ゴードンの筆力といえるだろう。
特にアクションシーンが凝っており、たとえば満員エレベーターの中での格闘など、なかなか他では見られないアイディアを盛り込んでいる。
ただ、いってみればそれだけの小説なので、楽しく読めることは読めるのだが、『二流小説家』あたりを期待すると、少々拍子抜けすることも確かだろう。
ジョーとヒロイン(なんと女泥棒とFBIのダブル!!)のロマンス、ジオとの関係などもまだ入り口といった感じだし、肝心の事件も二転三転するとはいえ基本構造はかなりシンプル。どれをとってもちょっと薄味な感は否めない。シリーズ化もあるようなので、まだ出し惜しみしている可能性もありそうだが。
早川書房の公式サイトに掲載されている著者のインタビューによると、この一つ前の長編の内容が特殊すぎたせいか、出版社に売れなかったということなので、もしかするとその反動もあっての本作なのかもなぁ。
ともあれ、さらに面白くなる余地はまだまだありそうなので、続刊が出たら一応読むつもりである。
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