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探偵小説三昧

日々,探偵小説を読みまくり、その感想を書き散らかすブログ


村上春樹『東京奇譚集』(新潮社)

 「不思議な、あやしい、ありそうにない話」と、わざわざ帯で謳っている村上春樹の新作が『東京奇譚集』。
 著者の作品はもともとファンタジー色、幻想的な風味が濃いものが多いので、今回はとりわけそういう方向性を打ち出したのかと思ったが……。いざ読んでみるといつもの春樹節で、どちらかといえばオーソドックスな部類に入るのではないか。なぜ本書でわざわざ「奇譚」とやったのか意図がよくわからない。

 ちょっと帯のキャッチにケチをつけてしまったが、本書の質については文句をつけるつもりはない。相変わらず、というと語弊があるが、懐かしさすら覚える出来映えで、喪失感や希望、再生といった文学における不滅のテーマを著者ならではのテイストで読ませてくれる。
 最近の長篇にはどうしても辛い点数をつけてしまうのだが、短編はやはり巧い。ただ、「品川猿」だけは、ラストが説明的すぎていただけなかった(ただしタイトルは絶妙。ちょっと大沢在昌の『新宿鮫』を思い出したが)。

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プロフィール

sugata

Author:sugata
ミステリならなんでも好物。特に翻訳ミステリと国内外問わずクラシック全般。
四半世紀勤めていた書籍・WEB等の制作会社を辞め、2021年よりフリーランスの編集者&ライターとしてぼちぼち活動中。

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