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探偵小説三昧

天気がいいから今日は探偵小説でも読もうーーある中年編集者が日々探偵小説を読みまくり、その感想を書き散らかすページ。

 

ジャック・リッチー『10ドルだって大金だ』(河出書房新社)

 年明け以降、仕事絡みでの飲み会が多い。とりわけ今週は午前様も多く、昨夜も家に帰り着いたのが3時頃。飲み過ぎ&寝不足なり。

 眠い目をこすりつつ早めに起床し、実家に出かける嫁さんを車で駅まで送り、犬の散歩、洗濯、掃除、買い物など、主夫業をせっせとこなすうちにもう夕方である。夜は久々の独り身で、鱈の西京漬けを肴に日本酒をちびちびやりながら読書。

 ジャック・リッチーの『10ドルだって大金だ』読了。『クライム・マシン』に続いてイッキ読みである。ちょっともったいない気もしたが、この面白さは止まらない。
 とりわけ単に笑えることのみを追求すると、ノン・シリーズよりはターンバックル部長刑事ものがおすすめ。ロバート・L・フィッシュのシュロック・ホームズを彷彿とさせるオフ・ビート・ミステリで、実に笑えるのだ。鋭い推理で烈しく捜査を進めるものの、根本的なところが間違っていたりして、いつも流れは頓珍漢な方向に。しかも結果はオーライ。何ともひねくれたパターンで書かれているわけだが、これは作者の構成力がいかに高いかの証しとも言える。決してアイディアだけに頼る作家ではないのだ。ああ、玉石混淆になってもかまわないから、ターンバックル部長刑事ものだけで短編集をまとめてくれないかな。
 最後に収録作。

A New Leaf「妻を殺さば」
Play a Game of Cyanide「毒薬であそぼう」
The Enormous $10「10ドルだって大金だ」
The Fifty-Cent Victims「50セントの殺人」
Remains to Be See「とっておきの場所」
A Piece of the World「世界の片隅で」
Queasy Does It Not「円周率は殺しの番号」
Who Got the Lady ?)「誰が貴婦人を手に入れたか」
Kid Cardula「キッド・カーデュラ」
Nobody Tells Me Anything「誰も教えてくれない」
Variations on a Scheme「可能性の問題」
The Willinger Predicament「ウィリンガーの苦境」
The Connecting Link「殺人の環」
The Fifth Grave「第五の墓」

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プロフィール

sugata

Author:sugata
ミステリならなんでも好物。特に翻訳ミステリと国内外問わずクラシック全般。
四半世紀勤めていた書籍・WEB等の制作会社を辞め、2021年よりフリーランスの編集者&ライターとしてぼちぼち活動中。

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