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 ヘンリー・ウエイドの『決闘』を読む。先日読んだ『大学生の失踪』と同じく、湘南探偵倶楽部さんから復刻された短編で、こちらは『新青年』1939年の新春増刊号に掲載されたもののようだ。

 決闘

 カウヒースの森で二人の男の遺体が発見された。どちらも夜会服姿、それぞれ右手には拳銃を握り締め、どちらも銃による傷を受けていた。表面的には、拳銃による“決闘”の果てに相討ちしたと思われる状況だったが、地元警察のコックス警視は状況に納得いかないものを感じ、スコットランドヤードに救援を求めるが……。

 というような導入の本作。当時の英国でもやはり“決闘”という手段は時代がかっていたようで、スコットランドヤードから派遣されたジョン・プール警部も現場の状況から、これが偽装であることを見抜く。本作も非常にシンプルな短編ではあるが、先日の『大学生の失踪』に比べれば、遥かにまともなミステリである。
 ただ、偶々なのかもしれないが、両作とも犯人像がなかなか個性的で、とりわけ本作の犯人は強烈だった。作品の性質を考えると、ここまでの個性を持たせる必要があったのかどうか疑問だが、逆にいうと長編やシリーズで活躍させてもよかったのにと思えるほどだ。

 とはいえこれまで読んだ著者の長編に比べると、『大学生の失踪』、『決闘』ともに出来としてはやや苦しいところ。作風を考えると、あまり短編向きではない作家だったのかもしれない。
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テーマ:推理小説・ミステリー - ジャンル:本・雑誌




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