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『Re-Clam』 Vol.5
こちらでは、ロスマク入門一冊目として(内容だけでなく入手しやすさも考慮)、『象牙色の嘲笑』を挙げているのが、なかなかいい線をついていると思う。個人的にロスマク入門書をあげるなら『象牙色の嘲笑』にプラスして、『死体置場で会おう』と『ギャルトン事件』も推しておきたい。ただし、この二冊は入手難というだけでなく文庫にもなっていないのが困りもの。
なお、次号は「ホームズのライヴァルたち」特集ということで、これまたナイス企画である。しかし、本来こういった企画は『ミステリマガジン』がやってほしいことなんだよなぁ。売れるものしか特集したくないのはわかるけれど、テレビドラマやアニメに頼ってばかりでは本当のミステリファンが離れるばかりではないか。別にマニア相手のクラシックミステリばかり特集しろと言っているわけではない。『ミステリマガジン』の本筋たる翻訳ミステリをもっと紹介してほしいだけなんだけどねえ。

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Comments
Y・Sさん
コメントありがとうございます。
結局、思うところは同じですし、
><これでも十分に海外ミステリ専門誌だ>という言い分?
なのではないかと……。
についても同感です。
個人的には〈シャーロック〉やアニメを頻繁に扱う頃から
急激に編集部のやる気を感じなくなりました。
他人の褌を借りる云々というだけでなく、思考停止に近い状態だなと感じています。
自分たちの企画で勝負する気概がまったく感じられない。
作家特集があっても、ほぼ映画、テレビ、、アニメ、漫画との連動ですからね。
先日Twitterでも呟きましたが,
そういう役割をいまRe-Clamが担っている気がします。
クラシック専門ですので一般的ではありませんが、
ああいう企画をせめて三号に一回ぐらい入れてくれれば、
要は翻訳ミステリ雑誌の意地を少しは見せてくれれば
多少は目を瞑れるんですけどね。
不思議なのは年末のベストテンでランクインした自社作品すら、
あまりプッシュしなくなったことですね。
なんとも不可解です。
ただ、もしかすると編集部にもなかなか言えない事情はあるかと思います。
可能なら一度、そういう話を聞きたいものです。
私はミステリマガジンには強い愛着がありますし、
だから毎月購読しているわけですが、この状態が続くならミステリマガジンは終わりにして、
誌名は変えてもらいたいですね。
Posted at 00:24 on 12 21, 2020 by sugata
早速の返信コメントありがとうございます。
もちろんどこまでいっても、こちらの仮想で
もしかしたら邪推なのですが、現状のミステリマガジン編集部は
<翻訳の実作などほとんど~あるいはまったく載せなくても
翻訳ミステリ専門誌としての最低限の要件は満たしている>
と考えているのではないか、と思うこともあります。
要は海外ミステリの実作がなくても、
・特集の海外作家に関するエッセイ、
・同:書誌情報
・同:関係者インタビューなど
そしてあとは、毎号連載の
・海外作品に関するエッセイ
・翻訳の新刊の時評
これだけでも<とにかく>海外ミステリに関する
文章はたっぷり載せてる。
そのうえで実作……は国内作家に任せよう。
<これでも十分に海外ミステリ専門誌だ>という言い分?
なのではないかと……。
個人的には(別のサイトの記事や探求を踏まえてですが)
ミステリマガジンは、ここ数年、クリスティー特集を
何回か行いながら、海外で最近発掘されたらしい
未訳のラジオドラマの翻訳なども掲載せず、
書籍で読める短編の再録で済ませているあたりで
かなり失望しました。
sugataさんのおっしゃる
<「海外ミステリ専門誌」なんだから、たとえ凡作でも
少しでも、毎号、海外短編ミステリを載せるべき>
という読者側、こちら側のスタンダードそのものにはまったく
同感で意義なし! なのですが、送り手の早川の編集部に
とっては、そういう作業は割があわない、と認定されてしまっている。
21世紀はそんな寒い時代なんじゃないかなあ、
ということなんです。
とても残念ですが、ハヤシさんの楽しまれた時代
(当方もその世代でした)のようなミステリマガジンが
戻ってくることは、もういろんな意味でありえないと思います。
一方でミステリマガジンは日本語版EQMM時代に
「別冊クイーンマガジン」で本誌の日本作家版を
創刊しながら、すぐ頓挫した過去がありました。
自社で育てて抱えた、あるいは縁がある人気作家で
売れる雑誌を作ろうとしながら当時はそれが
かなわなかった訳でした。
ただ現状を鑑みるに、半世紀以上たったこの21世紀に、
当時かなわなかった「別冊クイーンマガジン」の方向性は
とにもかくにもいつのまにか達成されていたんじゃないか?
と、ふと思ったりもしています。
(もちろん今のミステリマガジンの編集部の誰も、
そんな大昔のことなんか意識してないでしょうが……)
長文、失礼しました。
文中、至らない物言いがありましたらお許しください。
Posted at 23:32 on 12 20, 2020 by Y・S
Y・Sさん
ちょっと論点がずれているように思います。ミステリマガジンを存続させるために日本人作家を載せるのなら、ミステリマガジンという看板はおろすべきですよね。ミステリマガジンは翻訳ミステリの雑誌ですから、私はそれを目的にして買っているので、それ以外のメニューを載せるのはぶっちゃけ詐欺です。もちろん100%は無理でしょうが、現状はY・Sさんも書いているように死に体です。
正直、つまんない翻訳小説ばかりであってもかまいません。それでも翻訳ミステリを載せてくれないことには話が一歩も進まないわけです。高級料理でもジャンクフードでもとりあえず洋食が食べたい、洋食の話題が読みたいからからミステリマガジンなんです。日本人作家の小説を読みたければ、そのための雑誌が他にもたくさんありますから。
売り上げにしても需要にしても厳しい状況はもちろんわかります。でもダメなら翻訳ミステリ雑誌なんてやめればいい。日本ミステリの雑誌にすればいいんです。ただ、翻訳ミステリ雑誌と銘打っているなら、それで勝負してほしい。それだけですよね。
Posted at 22:09 on 12 20, 2020 by sugata
こんばんはです。
ミステリマガジンに翻訳ミステリが載らない現状へのお二人のご不満にはまったく同感なのですが、問題はもっと根も闇も深いように思えます。
思うに、翻訳ミステリ短編の訳出というのは
1:原文を読んで作品をセレクトする
2:版権を申請して許可をとる
3:翻訳者に翻訳を依頼する
……という段階的な工程があると思うのですが、出版不況のなかで合理化を強いられている専門誌の編集部現場はこんな面倒なこと、やりたくもないし、やってる余裕もないのではないでしょうか。
一方で、国内には(すごい不遜な物言いながら)実績も才能もあるミステリ作家なんか星の数ほどいるんだし、日本語でメール送ってスケジュールの余裕のある日本人作家を捕まえた方が編集部も100倍楽ですよね?
というわけで、当方はもう今のミステリマガジンは、翻訳ミステリ専門誌としては、もはや死に体だと思っています。
老舗の料亭の板前に期待したいといっても、経営者がカップラーメンレベルの食材しか使わせない体制をとっていたら、もう機能しません(あくまで翻訳ミステリ誌としての話ですが)。
Posted at 21:11 on 12 20, 2020 by Y・S
ハヤシさん
月々の作家特集が充実していて、初心者マニア関係なく、広くミステリファンが楽しめる作りでしたね。
話はそれますが、『EQ』は隔月で後発という面があったせいか、良い企画が多かったように思います(末期は酷かったけれど)。
Posted at 10:04 on 12 20, 2020 by sugata
古い話ですが太田博編集長時代のミステリマガジンは本当に充実していて今バックナンバーを読み返しても作品もコラムも面白い。その後も菅野国彦編集長時代も『魔の淵』などの未訳長編分載など読み応えがあったのに…今の体たらくは情け無いばかり。本当に翻訳ミステリが好きな人間が編集していないのでしょうね
Posted at 07:30 on 12 20, 2020 by ハヤシ
ポール・ブリッツさん
山田くん、座布団1枚あげとくれ!
Posted at 18:01 on 12 21, 2020 by sugata