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 田口俊樹の『日々翻訳ざんげ エンタメ翻訳この四十年』を読む。著者がかつてWebサイトに連載していたコラムをまとめたもので、自らの翻訳書を肴に、翻訳という仕事を振り返った一冊。

 日々翻訳ざんげ

 取り上げている作品は十七作。ローレンス・ブロック、ボストン・テラン、エルモア・レナード、マイクル・Z・リューイン等々、ハードボイルド系の作家が多く、管理人もブロックやリューインが好みの作家ということもあってり、ずいぶんお世話になっている翻訳者さんである。
 ちなみにちょっと調べてみたら、これまでに読んだ著者の訳書は八十冊強であった。いや、我ながらいいお客さんである(笑)。

 それはともかく。
 本書の魅力は翻訳に際しての裏話。元々が翻訳を学ぶ生徒さん向けに書いたということもあってか、専門的知識のみならず失敗談もふんだんに盛り込んで(というかそれがメイン)、とにかく興味を煽ってくれて楽しい。あくまでエッセイなので、系統的に学ぶような読み物ではないけれども、翻訳者として生きていくための心構えなども、これから翻訳をやろうという人には学ぶところも多いのではないだろうか。
 また、作品や作家についてのエピソードも豊富なので、ことさら翻訳に興味がない人であっても、本書に取り上げられているミステリが好きな人であれば十分に楽しめるはずだ。
 個人的には著者とマイクル・Z・リューインの関係に驚いた。訳書の後書きなどで、やりとりが頻繁にあったことは知っていたが、今では著者の翻訳上のブレーンみたいな存在になっていたことを知ってびっくり。

 その道で生きていくことの難しさ、志しのあり方……そんな諸々のこともあらためて感じさせてくれるし、いつもと異なる海外ミステリの楽しみも感じさせてくれる一冊。良書。


テーマ:評論集 - ジャンル:本・雑誌




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