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探偵小説三昧

日々,探偵小説を読みまくり、その感想を書き散らかすブログ


マイクル・コナリー『汚名(上)』(講談社文庫)

 マイクル・コナリーの『汚名』をとりあえず上巻まで読む。
 前作『レイトショー(上・下)』は新キャラクターの女性刑事レネイ・バラードが主役を務めたが、本作はお馴染みハリー・ボッシュの返り咲きである。
 他のキャラクターとの共演やカメオ出演みたいなものまで含めると、いったいこれが通算何作目のボッシュ登場作品になるのやら。面倒なのでいちいち数えはしないけれど(笑)、おそらく二十作はくだらないはずだ。読み捨て前提みたいな読み物ならともかく、この質をキープしてここまで書き継ぐコナリーの剛腕には驚くばかりである。

 汚名(上)

 本作は二つの事件の捜査が並行して進むスタイルである。一つは薬局の経営者とその息子が店で銃殺される事件。もう一つの事件は、ボッシュが過去に解決したはずの事件だ。今頃になって新たな証拠が出たという話だが、裏にはボッシュを陥れようとする企みが感じられた……。

 これまで修羅場という修羅場を潜り抜けてきたボッシュだから、このぐらいの事件ではなんだか余裕が感じられる(いや、十分に深刻ではあるのだが)。それはそれで心地よい部分もあるけれど、同時に寂しさもあり、やはり時の流れを感じずにはいられない。
 下巻の感想に続く。

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Comments

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SIGERUさん

この遊びをやっているとキリがなくなるのが恐ろしいところです(苦笑)。

モーリス・ルヴラン『オルヌカン城の謎』
ウェストレイク、他『アルカード城の殺人』
F・ポール・ウィルスン『城塞』
ロバート・アーサー『恐怖城の秘密』
スティーヴン・キャネル『九龍城の闇』
ドロシー・ギルマン『古城の迷路』
ジョン・ウィルソン『鷹の城の亡霊』
ジュール・ヴェルヌ『カルパチアの城』
ピアズ・アンソニイ『ルーグナ城の秘密』
ウォルポール『オトラント城奇譚』
L・スプレイグ・ディ・キャンプ『鋼鉄城の勇士』

城のつくタイトルは、これでもまだ1/6ぐらいですね(調べたら60作以上ありました)SFやファンタジー系が多いように思います。メジャーなのでは、「ハウルの動く城」なんてのもありますね。余裕があれば全部読んで、こういう特殊なベストテンを作ってみたいものです

Posted at 00:40 on 04 11, 2021  by sugata

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sugataさん、こんばんは。
成程、ポール・ブリッツさんのはtwitterへのコメントだったのですね。便乗します。『マーン城の喪主』いいですねえ。ブラウン神父譚は大好きで、折にふれて、複数の翻訳を読み比べては楽しんでいます。
城といえば、カーター・ディクスン『弓弦城殺人事件』もありましたね。カーのファンなら読んでおいてもいいかな、という感じではありますが。

Posted at 23:33 on 04 10, 2021  by SIGERU

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ポール・ブリッツさん

「マーン城の喪主」は『ブラウン神父の秘密』ですね。間違いなく読んではいますが、内容は完全に忘れております(笑)。なんせ読んだのは40年以上前ですのでご容赦を。でも、ホームズのライヴァルの刊行が盛んですし、ブラウン神父もそろそろ再読の頃合いかもしれませんね。

Posted at 18:37 on 04 10, 2021  by sugata

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>Twitter(4/6)

短編ですけど、わたし、チェスタトンのブラウン神父譚の中でも「マーン城の喪主」という話が大好きで……。城から相続人が出てきたときのサスペンスも、カトリックとしての良識を説くチェスタトンらしい結末も最高であります。「天の矢」のネタの使い回しではないか、というのはおいといて(^^;)

Posted at 11:56 on 04 10, 2021  by ポール・ブリッツ

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sugata

Author:sugata
ミステリならなんでも好物。特に翻訳ミステリと国内外問わずクラシック全般。
四半世紀勤めていた書籍・WEB等の制作会社を辞め、2021年よりフリーランスの編集者&ライターとしてぼちぼち活動中。

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