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探偵小説三昧

日々,探偵小説を読みまくり、その感想を書き散らかすブログ


ジャック・リッチー『クライム・マシン』(晶文社)

 ジャック・リッチーの『クライム・マシン』を読む。一昨年の『このミス』で1位、『週刊文春』で2位という高評価を受けた短編集である。まずは収録作。

The Crime Machine 「クライム・マシン」
Where the Wheel Stops...「ルーレット必勝法」
For All the Rude People「歳はいくつだ」
Twenty-Two Cents a Day「日当22セント」
The Killing Philosopher「殺人哲学者」
Traveler’s Check「旅は道づれ」
The Absence of Emily「エミリーがいない」
Ripper Moon! 「切り裂きジャックの末裔」
Lily-White Town「罪のない町」
Memory Test「記憶テスト」
Some Days Are Like That「こんな日もあるさ」
The Hanging Tree「縛り首の木」
The Cardula Detective Agency「カーデュラ探偵社」
Cardula to the Rescue「カーデュラ救助に行く」
Cardula's Revenge「カーデュラの逆襲」
Cardula and the Locked Room「カーデュラと鍵のかかった部屋」
The Deveraux Monster「デヴローの怪物」

 いやぁ、しかしジャック・リッチーの短編集が出るとは夢にも思わなかった。ジャック・リッチーといえば、20年ぐらい前の『EQ』や『ミステリマガジン』には、エドワード・D・ホックやアイザック・アシモフ、ロバート・トゥーイ(この人も短編集が出るようです)、ルース・レンデルなんてところと並んで一緒によく短編が載っていたものだ。ただ当時は掲載作のレベルが平均して高かったせいか、もうひとつ目立ってなかったようなイメージがある(個人的にもアシモフの「黒後家蜘蛛の会」が一番のお気に入りであった)。それがこうしてかなりの時をおいて、いきなり絶大なる評価を受けるようになるのだから、世の中変わるものである。
 ジャック・リッチーの持ち味は、切れ味の鋭さとバランスのよさにあると思う。意外なオチであったりシュールな味もないことはないが、基本的には極めて直球のミステリだ。そういう意味では「異色作家短編集」に入るタイプではなく、確固たるミステリ畑の短編職人である。その短編職人の傑作ばかりを集めたのが本書『クライム・マシン』なので、これはもうつまらないわけがない。メジャーどころで比較すると、ジェフリー・ディーヴァーの『クリスマス・プレゼント』以上に愉しめると断言しておこう。おすすめ。

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sugata

Author:sugata
ミステリならなんでも好物。特に翻訳ミステリと国内外問わずクラシック全般。
四半世紀勤めていた書籍・WEB等の制作会社を辞め、2021年よりフリーランスの編集者&ライターとしてぼちぼち活動中。

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